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名門・常翔を花園制覇に
導いた未来のスター候補。
~重一生、「史上最強」への挑戦~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2013/01/27 08:00

名門・常翔を花園制覇に導いた未来のスター候補。~重一生、「史上最強」への挑戦~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

決勝は御所実の厳しいマークを受けノートライに終わるも、頑健な体でボールを活かした。

「工大・常翔史上最強と言われるチームになりたいです」

 常翔学園の背番号15、FB兼SHの重一生(しげいっせい)は言った。

 工大とは、高校ラグビーで全国制覇4度を誇った大阪の名門校、大阪工大高。常翔とは、その工大が'08年に校名変更した常翔学園のことだ。新春5日の全国高校ラグビー準決勝。常翔は、やはり優勝5度を数える東京の名門・国学院久我山と伝統校同士で対決、準決勝以上では史上最大得点差となる57対0の圧勝を飾った試合後、重一生は言ったのだ。

「大会前、先輩の元木由記雄さんが練習に来てくださって『工大・常翔史上最強を目指せ』と言われたんです。昔の工大がどれだけ強かったのか、僕には分からないけど、以前から見ている人に『これが史上最強やな』と思ってもらえるように、決勝も圧倒して勝ちたい」

 言葉に花園の主役を担う決意が覗いた。1年前まで3連覇を飾った東福岡は準々決勝で茗渓学園に敗れていた。昨夏に高校生ながら日本代表スコッド入りしたSO山沢拓也を擁する深谷は3回戦で消えた。深谷を破ったのは、山沢とともに次代の日本代表を担うジュニアジャパンのFB松田力也が率いる伏見工だったが、常翔は伏見工と準々決勝で対戦。重はその試合でも重心の低い、バネの利いた走りで縦横無尽の大暴れ。3トライを挙げ、逆転また逆転の死闘を27対26で制す原動力となった。地元・大阪から久々に現れたヒーローの躍動に、花園は連日、熱気に包まれた。

「ディフェンスでは大会の歴史でも上位に入るんじゃないですか?」

 そして7日の決勝。常翔は奈良・御所実の堅守に苦しみながら、後半21分の逆転トライで17対14で競り勝った。工大時代の'95年度以来17年ぶり、現校名では初の全国制覇だった。

「去年までは東福岡がずっと勝っていて、今年こそ優勝旗を大阪に取り返したいという気持ちはずっと持っていました」

 その重に「史上最強の件は?」と聞く。

「決勝は苦戦したし、目標達成は次のステージに持ち越しかな……でも、5試合のうち3試合は完封したし、ディフェンスでは大会の歴史でも上位に入るんじゃないですか?」

 冷静な自己観察にまぶした強気が頼もしい。進学先は王者・帝京大。「史上最強」に再挑戦するには絶好のステージだ。

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