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熱狂的空気を演出する、
老舗スタジアムの底力。
~南アでのサッカー観戦の醍醐味~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2010/06/28 10:30

熱狂的空気を演出する、老舗スタジアムの底力。~南アでのサッカー観戦の醍醐味~<Number Web> photograph by Getty Images

セルビア-ガーナ戦が行なわれたロフタス・バースフェルド

 今回のワールドカップで使用されている10会場のうち、半数のスタジアムが新設だ。

 開幕戦が行なわれたメイン会場のサッカーシティ(ヨハネスブルク)にしても、全面改修という名の“ほぼ新設”。スタンドの一部を除き、そのほとんどが新しく建てられた。

 昨年、コンフェデレーションズカップの取材時に、まだ工事中だったスタジアム内部を取材させてもらっていただけに、こうして無事(?)に開幕を迎えられたことは、それなりに感慨深いものがある。

 新しいスタジアムは、さすがに快適だ。南アフリカは、ラグビーも盛んなお国柄。球技観戦に通じているためか、9万人近くを収容する巨大スタジアムでありながら、最上部からでもピッチが見やすい。

 ただし、新しさは快適である一方で、どこか味気なくもある。アフリカの荒涼とした大地を思わせる色彩の外観は斬新ではあるが、中身は前回大会の開幕戦が行なわれた、アリアンツ・アレナ(ミュンヘン)のコピー版といった印象だ。

 むしろ味わい深いのは、本当の意味での改修にとどめられた、既存のスタジアムの面々である。

 とりわけ、ロフタス・バースフェルド(プレトリア)は秀逸だ。

垂直に近い角度に据えられたゴール裏のスタンド。

 オープンは、なんと1906年。100年以上の歴史を誇るだけあって、ところどころ、くたびれたところがないわけではないが、それも含めて実に趣があるのだ。

 ピッチとスタンドの距離が近いことはもちろんだが、スタンド全体が急角度に据えられているのがいい。熱狂的な雰囲気で知られるボンボネーラ(ブエノスアイレス)のごとく、ゴール裏は垂直と表現しても構わないほど切り立っている。

 加えて言えば、レンガと鉄骨が組み合わされた外観もまた、実にカッコイイのだ。今大会の10会場のなかで、ではなく、世界的に見ても、個人的にはかなり気に入っている。

 こうした作りのスタジアムは熱気が分散しないから、選手とサポーターが一体になって、スタジアム全体の雰囲気を作り出すことができる。13日のセルビア対ガーナ戦では、スタンドにつめかけたガーナ・サポーターが歌えや踊れやの大応援で、自分たちのホームゲームにしてしまった。結果は言うまでもないだろう。

【次ページ】 闇に包まれ、ブブゼラの音色が幻想的に聞こえてくる。

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