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「飛ばない」低反発球に統一決定!
矛盾抱えつつもプロ野球界が国際化。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byTamon Matsuzono

posted2010/06/29 10:30

「飛ばない」低反発球に統一決定!矛盾抱えつつもプロ野球界が国際化。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

今季はミズノ、ゼット、久保田、アシックスの4社がボールを供給。来季からは全球団、全球場で同じボールが使用される見通しだ

 5年前に同じ掛け声を聞いた。

 2005年にプロ野球の各球団はこぞって「低反発球」――いわゆる「飛ばないボール」を採用した。

 それまでセ・リーグで「飛ぶボール」を使っていたのは巨人と横浜だったが、両球団の本塁打数はこの年に激減。チームの年間本塁打数は巨人が前年の259本から186本、横浜も194本から143本へと減少した。パ・リーグではロッテ以外の5球団が前年までは「飛ぶボール」を使用。その5チームが「低反発球」に切り替えたことで、リーグ全体の本塁打数は920本から827本と約1割も少なくなっている。

 実際にその後は各チームの本塁打数は以前に比べれば低い水準に落ち着いている。

年平均本塁打数が209本から174本へ激減している巨人。

 あれだけ一発の印象の強い巨人でも、2005年以降の本塁打数は186→134→191→177→182と推移。合計870本塁打で年平均にすると174本。2000年から2004年までの5年間の合計1049本、年平均で209.8本塁打という数字からは、まさに“激減”ということになる。

 だが、それでもまだ球界には「飛びすぎる」という声が引きも切らない。

 理由はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)やオリンピックなどで使ってきたボールとの違いだった。

「これからの日本球界の一つの方向性として国際化という道があるとすれば、ボールをどれだけ国際試合で使っているものに近づけていくか。そこも一つの課題となるはずだ」

 昨年のWBCを終えて、日本代表チームの監督をつとめた巨人・原辰徳監督の総括の一つだった。

「飛ばない」だけでなく他にも多くの違いがある国際基準。

 その声を受けて動いたのが加藤良三コミッショナーだった。

「プロ野球の公式戦で使うボールを国際基準にする」

 そのトップの掛け声で再び、ボール改革がなされ、来年から1軍の公式戦ではミズノ社製のいわゆる「飛ばない」ボールの使用が決まった。

 ただ、国際化という側面から考えると、この新球でもクリアできない問題は多く、作り手はそこにある種のジレンマを感じざるを得ないのだという。

 一つはボールの「滑り」だ。

【次ページ】 急激にボールの質を変えると選手の故障につながる。

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