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川島永嗣 「最少失点の手応えと未練」 ~岡田ジャパンのラッキーボーイ~ 

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byShinichiro Kaneko(KAZ Photography)

posted2010/06/24 18:00

川島永嗣 「最少失点の手応えと未練」 ~岡田ジャパンのラッキーボーイ~<Number Web> photograph by Shinichiro Kaneko(KAZ Photography)

 後半8分だった。

 左サイドから入ったクロスを闘莉王がヘディングでクリアした。ボールは、ペナルティボックス内にいたファンペルシの足元に収まる。背後から静かに忍び寄っていたのは、スナイデルだった。一度開き気味にポジションを変えた10番が、自ら空けたスペースに戻ってボールを受ける。

 川島永嗣は、「撃つ」と予測した。

 ポジション取りは完璧だった。

 後半の序盤から立て続けに撃たれたシュートは、しっかりとセーブしていた。相手は勢いを増して畳み掛けてきたので、「自分のセーブで流れを変えることができれば」と思っていた。

 放たれた矢が、唸りを立てて迫ってくる。「弾ける」と思った……。

「これは正直、でかいチャンスだと思いました」

 川島が正GKのポジションに就いたのは、W杯開幕前の親善試合、イングランド戦からだった。それまでは、楢﨑正剛に次ぐ第2GKという存在で、注目は、むしろ第3GKとしてメンバー入りした川口能活に集まっていた。しかし、セルビア戦、韓国戦と連敗を喫し、流れを変えたいという岡田監督の意図もあったのだろう。川島が抜擢されたのである。

「これは正直、でかいチャンスだと思いました。GKのポジションはひとつしかないんで、ここで結果を出せばという強い気持ちで臨んだんです」

 敗れはしたものの、気迫溢れるプレーで再三ピンチを凌いだ。つづくコートジボワール戦、ジンバブエ戦でもゴールマウスを守り、岡田監督が目指す「堅守」というスタイルの中で、川島はラッキーボーイ的存在となったのだ。

 そしてW杯本番。初戦のカメルーン戦では、度重なる接触プレーに傷みながらも無失点で切り抜けた。

「ゼロに抑えて勝つことができた。すごい自信になりましたね」

【次ページ】 スナイデルの放ったシュートはブレながら川島を襲った。

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