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開発力で他を圧倒。
マクラーレン、反撃の夏。
~レッドブルを凌駕する名門の底力~ 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2010/06/26 08:00

開発力で他を圧倒。マクラーレン、反撃の夏。~レッドブルを凌駕する名門の底力~<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

 チーム力を見せつけ、マクラーレンが第7戦トルコGPに続き、第8戦カナダGPも1-2フィニッシュ。シリーズ中盤に入り、レッドブルの勢いを止めることに成功した。名門チームがいよいよ反撃に転じたと見ていい。

 これで2人のチャンピオン、L・ハミルトンとJ・バトンともに2勝ずつ。2人の無得点レースも1戦ずつと揃っていて、ライバルチームとの違いが結果に表れている。レッドブルはM・ウェバー2勝、S・ベッテル1勝だが、ウェバーに無得点レースがないのに対し、ベッテルは2戦。ベッテルがドライバーズランキング5位に留まっている原因はここにある。

接触事故を起こしたレッドブルとは対照的に絶妙の采配術。

 マクラーレンに反撃のきっかけを与えたのは、トルコで起きたレッドブルのチームメイト同士の接触事故だ。まだ結成5年の若いチームは、この件で動揺が起き、首脳陣は収束させるために「緊急全体会議」を開かなければならなかった。シーズン真っ只中にこうした問題を抱えると、レースに注がれるべきエネルギーが分散する。表面上はウェバーの1年契約延長が発表され、ベッテルとの“和解”が報じられたものの、2人の関係は以前の関係には戻らないだろう。

 開幕前にはマクラーレンのチームメイト対決のほうが注目されていた。だが、先に2勝したバトンに対してハミルトンは焦らずに序盤戦を過ごしてきた。トルコGP、ぎりぎりで接触を避けたバトンとのバトルは、レッドブルの事故直後だっただけに、彼らのプレーレベルとチームの采配術の妙を感じさせた。

名門の底力を支えるマシンの高い信頼性と優秀なスタッフ。

 直線スピードで優るマクラーレンの空力性能と、推定760馬力以上のピークパワーを誇るメルセデスエンジン。そして特筆すべきは、マシンの高い信頼性だ。モナコではバトンにエンジントラブルが見られたが、人為的なミスが原因で、大きなメカニカルトラブルは出ていない。これはレッドブルばかりかフェラーリ、メルセデスGPを凌駕する、今年のマクラーレンの絶対的な強さの理由である。

 壊れないマシンをまず作り上げ、1戦ごとに速さを積み重ねていく開発力が、名門チームには備わっている。ハミルトンとバトン、それぞれに合わせたセットアップを的確に進める現場スタッフの働きも素晴らしい。春のレッドブルに替わり、夏はこのチームが主軸になっていく。

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