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イタリア代表は大胆起用で
低支持率を覆せるか。
~新世代アズーリを検証する~ 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2010/06/24 06:00

イタリア代表は大胆起用で低支持率を覆せるか。~新世代アズーリを検証する~<Number Web> photograph by Getty Images

ピルロに代わる司令塔モントリーボ(右)に期待がかかる

 パラグアイに1-1のドロー発進となった前回王者のイタリア。

 試合翌日、難敵相手の引き分けに対する母国メディアの反応は、それまでの厳しい論調とは異なり、決して悪いものではなかった。

 昨年6月、コンフェデ杯でエジプトに惨敗してからというもの、国内に立ちこめたのは、代表への悲観論だった。予選で機能したはずの「ユベントス・ブロック」はユーベの低迷とともに雲散霧消。今年に入ってからのテストマッチでも、攻撃陣の決定力不足が目立った。カウンター攻撃から次々と決勝点を奪ったシーンがいまだ脳裏に焼きついている国民からすれば、物足りないのは当然だろう。4年前の偉業は、熱狂の記憶とともに半ば神話化している。

リッピ監督のメディア受けの悪さが悲観論の一因に。

 インターネット上で行なわれた大会直前アンケートでは、連覇に期待を寄せている国民は、わずか16.7%。冷徹な現実主義者であるイタリア人は、今大会のアズーリに過度な期待をせず、ベスト4まで進めば上出来だと考えているフシがある。

 メディア受けの悪さも低支持率の一因だ。ファンタジスタ不要論を唱え続けるリッピには“サポーターに歩み寄る姿勢を見せない頑固者”というイメージが定着。W杯優勝監督という肩書は、むしろ権威主義の象徴と捉えられた。

 '82年スペイン大会優勝後、'86年メキシコ大会で連覇に失敗した元代表監督ベアルゾットは「もっと信頼すべき」と同情したが、外野からの懐疑論は止まず、政界の一部から「サッカー協会は代表選手たちの出場給減額を検討してはどうか」という声まで出るに至った。

思い切った若手の抜擢でアズーリへの期待度は急上昇。

 そんなイタリア代表が大きな変化を迎えたのは、6月の直前合宿終盤のことだ。司令塔ピルロに左ふくらはぎの肉離れが発生し、全治2週間で初戦の出場が絶望とわかると、リッピはすぐさまメンバー改造に着手した。

 まず、次世代アズーリの旗手と注目されていたMFマルキージオとMFモントリーボを起用。大会直前のメキシコ戦、スイス戦では芳しい結果が出なかったが、リッピはそれでも2人を初戦のパラグアイ戦に先発させた。驚きをもって受け止められた左SBグロッソの落選と合わせて、代表の世代交代を強く印象づける出来事だった。イタリアはベテランの重用から若手の抜擢へと大きく舵を切ったのだ。

 初戦ドローの結果にも、リッピは「モントリーボをはじめ若手が素晴らしい試合をした」と称賛。「この代表には頭も脚もハートもある。W杯はチームを成長させる」と手応えを強調した。『ガゼッタ・デロ・スポルト』紙も「この代表は愛されるべきチーム。若い闘争心にあふれる好ゲームだった」との評価を与えたのだ。

【次ページ】 イタリアの躍進は若手とベテランの融合にかかる。

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