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興南を中心に強豪が揃う、
沖縄勢の躍進の理由とは。
~夏の甲子園行き、本命はどこだ!?~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/06/19 07:58

興南の島袋はトルネード投法から最速145キロの直球と精度の高い変化球を巧みに操る

興南の島袋はトルネード投法から最速145キロの直球と精度の高い変化球を巧みに操る

 高校球界の勢力図は今、沖縄を中心としたものに塗り替えられつつある。今春の選抜優勝校が興南、'08年は選抜が沖縄尚学の優勝、夏の選手権が浦添商のベスト4と、多くの高校が好成績を収め、過去10年間の成績は26勝15敗、勝率.634。これは強豪県である神奈川(.611)、愛知(.585)を上回る数字だ。躍進の原動力は全力疾走とコンパクトなフルスイング、そして毎年のように出現する好投手の存在で、今年の沖縄勢にもそれらのキーワードがあてはまる。

島袋が「僕でも抑えるのが難しい」と語る興南打線。

 興南の左腕・島袋洋奨は今年の選抜をほぼ1人で投げ抜き、防御率1.17の好成績を収め、チームを優勝に導いた。準準決勝の帝京戦を完封、準決勝の大垣日大戦を7回0封と、強豪校に力負けしないパワーピッチングが身上で、真縦に落ちるカーブは高校生では攻略が難しいとさえ言われている。

 この島袋が2回3分の1しか投げなくても今春の九州大会を圧勝したことから、今の興南の強さがおわかりいただけると思う。打線も島袋が「僕でも抑えるのが難しい」と九州大会優勝後に語っているほど充実している。とくに真栄平大輝の捕手寄りのミートポイントからの強打は、高校生には会得困難な技術と言っていい。

新旧実力校が群雄割拠する沖縄の夏。

 これほどの強さを誇る興南でさえ、この夏は大本命とは言えない、というところに沖縄勢の充実ぶりがうかがえる。過去10年間、甲子園の春・夏で勝ち越している沖縄尚学(甲子園9勝3敗)、浦添商(4勝1敗)、八重山商工(3勝2敗)が今年も戦力を充実させ、興南の足をすくいにかかれば、新興勢力の糸満は超高校級バッテリーの宮國椋丞、島袋陽平を前面に押し立て、王者興南に力勝負を挑む。

 九州大会では宮國、島袋とも体調が万全でなく初戦負けを喫しているが、スカウトの評価は「いいところを見ているので、評価は落としません」と依然として高い。この糸満と春の県大会決勝で熱戦を演じた小禄も加えれば、沖縄の夏は群雄割拠の様相で、まことに賑やかだ。

 一年中野球ができる温暖な環境に対して「冬場はバットとボールを握らず走り込みに専念しなければ」と批判する声もあるが、実戦形式の練習を多く積むことは球児たちの将来にとってもマイナス要因ではない。沖縄の野球は、そういう声を封じる第二段階に突入したようである。

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