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作家・江上剛 「ライバルでありおしゃべり相手である仲間と走るのが楽しい」
 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2012/11/01 06:00

作家・江上剛 「ライバルでありおしゃべり相手である仲間と走るのが楽しい」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

初マラソンで失神状態……それでも翌日には練習に。

 もちろん、前日飲みすぎちゃった日とか、今日は止めようかなって思う日もあります。だけど練習日だな、行けば誰かがいるな、と思うとね。やっぱり起きていこうか、って気になっちゃう。チームに追い抜きたいライバルもいるしね。ひとりで走ってても、今頃彼女も練習してるかも、とか、この間これくらい練習したって言ってたよなとか、思いだすんです。これは続けられるモチベーションになりますよ。ひとりで始めてたら、絶対続いてなかったよね。

 走りはじめて、半年くらい経った頃に、つくばマラソンに出たんです。あまりにも調子が良くてね。オーバーペースで走ってたら、28km地点ぐらいから便意は催すわ、吐き気は催すわ、意識は遠のくわ、七転八倒。ゴールでみんなが応援してるのも分からなくて「こんなに必死に走ったのに、待ってもいないなんて!」って思いながら、そのままトイレに駆け込んで、1時間近く失神状態。疲れたというより死ぬかと思ったね。「こんなしんどいの、よく金払ってやるよ。もうやめた」って。

 でもね、翌日もノコノコ練習に出かけたんだよね。自分でもよく分からない。不思議だよね。あまりにも惨めだったから、もうちょっとちゃんと走りたいと思ったのかなあ。今では毎月レースに出たいくらいですよ。

最近、女房より俺の方が先に歩いているのが大きな違いですよ。

 走りはじめて体型も変わったね。一時は86kgあって、健康診断も要経過観察ばっかり。それが14kgくらい落ちて。女房の友達に「スマートになった」なんて言われるとやっぱりうれしいよね。最近すごいことに気付いたんだよ!

 前はね、太ってたから女房の後ろしか歩けなかったんだよ。スポーツクラブに行ってるから、女房は足が速くて。結婚当初は確か僕の方が先歩いてたはずだったのに。それがランニングを始めて、最近は俺のほうがちょっと前を歩いてる。これは大きな違いですよ。決して生活の内実において、女房より前に出てるってことではないんですが(笑)。

●江上剛(Go Egami)
1954年1月7日生まれ。『非情銀行』でデビュー。著書に『55歳からのフルマラソン』(新潮新書)。

◆走る距離と頻度は?

10~20km/週7回

◆始めたきっかけ

生活のリズムを変えたくて。

◆ベストタイム

03:46:20(フル)

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