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ニッポンの女子が偉業達成。
フリーダイビングで世界連覇。
~189mを潜水する「人魚ジャパン」~ 

text by

野田幾子

野田幾子Ikuko Noda

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photograph byRyuzo Shinomiya

posted2012/10/07 08:00

ニッポンの女子が偉業達成。フリーダイビングで世界連覇。~189mを潜水する「人魚ジャパン」~<Number Web> photograph by Ryuzo Shinomiya

 9月15日、フランス・ニース。50mプールに会場中の注目を集める2つの影があった。潜水距離を競う「ダイナミック・ウィズ・フィン」で同時スタートした平井美鈴と廣瀬花子だ。水中でプールを往復していた平井が浮上すると、マスクを外し、親指と人差し指で円を作ってジャッジに告げた。「アイム・オッケー」。記録は175m。ほどなくして隣のレーンを泳いでいた廣瀬も水上に姿を現した。ジャッジを見つめる顔はこぼれんばかりの笑顔だ。189mで日本新記録を樹立。日本女子チームが「フリーダイビング世界選手権2012ニース」で優勝を決定づけた瞬間だった。一昨年、沖縄で開催された世界選手権金メダル獲得に続く、2連覇である。

 胸一杯に吸った空気だけで潜水距離と深度を競うフリーダイビング。今大会は男子26 カ国、女子17カ国が参加、1チーム3名で争う団体戦だ。前述のダイナミック、海洋で深さを競う「コンスタント・ウィズ・フィン」、プールで息止めの時間を競う「スタティック」の総合点で勝敗を決める。

 前回、強豪ロシアを僅差で破り、史上初の金メダルを獲得した日本女子は、今大会、2位の地元フランスに70ポイント近くの大差を付け、圧倒的な強さを世界に印象づけた。

身体からの「まだ行ける」の声を信じて、日本記録を更新した廣瀬。

 団体戦3回目の出場となる平井は終了後、「競技を確実に、大切にこなしたのが強さにつながった。初めて積極的にメダルを獲りにいった実感がある」と笑顔を見せた。廣瀬は、「ダイナミックは165mで上がる作戦だったが、身体の声は『まだ行ける』と。泳ぎながら金メダルが見えていた」。団体戦初参加の福田朋夏は「かなり緊張した」と言うが、スタティックの自己ベストを更新、6分29秒の記録で優勝に貢献した。

 一方、エース篠宮龍三が率い、前回銀メダルを獲得した男子は11位に終わった。

「急激に水温が変わる地中海に身体のコンディションを合わせられなかった」

 しかし、そこでつぶれずに最後まで競技に臨めたことで、自身もチームも成長した、と篠宮は語る。

 次の世界選手権団体戦は2014年。3連覇を狙う女子、着実に経験を積み重ねる男子共々、男女同時金メダルという偉業を狙うことになる。

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