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ラスベガスの将来を担う
2人のメキシカン。
~米ボクシング界を席巻する新星~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byGetty Images

posted2012/10/10 06:00

ラスベガスの将来を担う2人のメキシカン。~米ボクシング界を席巻する新星~<Number Web> photograph by Getty Images

マルティネス(右)と打ち合うチャベス。リングサイドからは英雄である父も檄を飛ばした。

 世界屈指のボクシング王国メキシコのリングが、このところ賑わいをみせている。

 同国テレビ局がボクシングの定期番組から撤退した時期もあったが、今では毎週末の土曜日には3局が競ってボクシングを放送。ほとんど行なわれることがなかった国内での世界戦開催も復活した。

 人気復活に拍車をかけているのが2人のスーパースター候補の活躍だ。

 ミドル級フリオ・セサール・チャベス・ジュニアと、スーパーウェルター級サウル“カネロ”アルバレス。近い将来に対決も期待されるライバルである。

 9月15日、2人はほぼ同じ時間帯に米国ラスベガスの異なる会場で試合をした。

 この地では例年メキシコの独立記念日に合わせてメキシカンを主役にしたビッグマッチが組まれる。通常このようなケースではどちらかが日程をずらすのが興行界の原則だが、2人を抱えるプロモーター同士が犬猿の仲とあり、強気で正面衝突。結果は両試合ともチケット完売となり、チャベス2世がWBCミドル級王座を懸けて実力者セルヒオ・マルティネスと対戦した試合には1万9000人、カネロのWBCスーパーウェルター級王座防衛戦には1万5000人と、併せて3万を超す大観衆を集めた。

偉大な親を持つチャベス・ジュニアと、天才強打者のアルバレス。

 チャベスの父は'90年代メキシコの英雄で、ジュニアはとかく「親の七光り」とみられてきた。だが、この日は豊富な経験と技術に勝るマルティネスにかわされ判定負けしたものの、最終回には得意の左フックでダウンを奪うなど大健闘を見せた。49戦目にして初黒星を喫することになったが、負けて株を上げた。

 一方のアルバレスは格下のホセシト・ロペスを難なく5回TKOで撃退し、負けなしの41度目の勝利を30度目のKOで飾った。攻撃的な戦法と豪快な倒しっぷりが魅力の天才強打者だ。

 チャベス、カネロともにデビュー当初は慎重に相手を選び「作られたスター」との批判も一部にはあったが、今回のチャベスのように敢えて強敵にぶつける冒険も辞さなくなっており、毎回のように強敵と対戦しなくてはならないスターとしての資格も徐々に備え始めている。

 このメキシカン2人がアメリカのボクシング産業になくてはならない“顔”となるのも、時間の問題かもしれない。

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フリオ・セサール・チャベス・ジュニア
カネロ・アルバレス

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