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凱旋門賞へ視界良好、
充実のオルフェーヴル。
~周到な準備で日本馬初制覇を~ 

text by

平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph byKYODO

posted2012/09/30 08:00

凱旋門賞へ視界良好、充実のオルフェーヴル。~周到な準備で日本馬初制覇を~<Number Web> photograph by KYODO

フォワ賞では名手スミヨンの手綱捌きも冴え、本番に弾みをつけた。

 欧州の競馬関係者なら誰もが目指すレース。それが凱旋門賞だ。

 今年は10月7日に開催されるこのレースは日本のホースマンも、長らく目標としてきた舞台である。'69年にスピードシンボリが出走したのを皮切りに、昨年まで延べ12頭の日本馬が挑戦したが、いまだ勝利した馬はいない。

 その高く厚い壁に今年挑むのが、オルフェーヴル(牡4歳)だ。同馬を管理するのは池江泰寿調教師。父の泰郎氏は、かつてあのディープインパクトを育てた名調教師である。

 オルフェは3歳だった昨年、日本ダービー等を制し、史上7頭目の三冠馬となった。その後も有馬記念と宝塚記念を制覇し、誰もが日本の現役最強馬と認める存在である。

 8月下旬、凱旋門賞の舞台となるフランスに渡り、9月16日に前哨戦であるフォワ賞に出走。この欧州初戦を見事に勝利で飾ると、一躍、大一番の主役争いに名を連ねた。

「小学校低学年の頃の年賀状に、スピードシンボリが凱旋門賞に出走した時の絵を描いていました。いつか勝ちたい、憧れの舞台なんです」

凱旋門賞と同条件のフォワ賞を前哨戦に選んだ、池江師の戦略。

 そう語る池江師の積年の思いが更に強くなる出来事が'06年にあった。ディープインパクトがこの大舞台に挑戦。圧倒的1番人気に推されながらも3着に敗れた。さらにレース後、検体から薬物(ステロイドのような悪質なものではなく、フランスでは禁止されていた風邪薬に類したもの)が検出され失格となった。当時の父の無念を目の当たりにした池江師が、“勝ちたい”という気持ちを更に強めたであろうことは想像に難くない。

 しかし、勿論、気持ちの強さだけで勝てるほど、“世界”が甘くないことは池江師自身、よく分かっている。だから馬が逃げてから馬小屋の戸を閉めることにならぬよう、万全の手を打ってきた。

 例えば前哨戦としてフォワ賞にエントリーしたこともそう。舞台となったロンシャン競馬場の2400mは本番の凱旋門賞と全く同じ。ここを一度経験したことはオルフェにとっても大きなアドバンテージとなる。

【次ページ】 1番人気の評価もある中、待ち受ける相手は多士済々。

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