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ローカル開催縮小が呼んだ、
ファンと地方の大きな失望。
~売り上げ低迷打開策の問題点~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/09/17 08:00

ローカル開催縮小が呼んだ、ファンと地方の大きな失望。~売り上げ低迷打開策の問題点~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

コディーノが勝った札幌2歳S。多くの観衆が例年より1カ月早い夏の終わりを惜しんだ。

 夏のローカル競馬があっという間に終わってしまった。短かったという感覚は決して気のせいではない。馬券売り上げの低迷に歯止めをかける狙いで、今年はいわゆる4大競馬場(東京、中山、京都、阪神)の開催をより重視。ローカル開催を思い切って縮小する政策が断行されたのだ。

 従来16日間ずつ組まれていた函館と札幌の競馬がそれぞれ12日間、14日間にリストラされ、例年なら新潟と小倉が終わったあとも、1カ月の余韻を残して行なわれていた初秋の札幌競馬は幻のように消えた。番組表が発表された時点でそれはわかっていたが、現実にその日が来て、「短過ぎる」「物足りない」と嘆いたファンのなんと多かったことか。

 北海道のファンだけではない。九州・小倉の競馬も従来の16日間から12日間に縮められて、地元のファンの失望を誘ったのはもちろんのこと、ホテルや飲食業界等、地域の夏の経済に多大な影響を与えることにもなったのである。

収支改善へ、数字のよくないローカル開催を削るのは筋書き通り!?

 この“悪政”が実行されたのは、平成19年の国会で中央競馬会に関する法改正が行なわれ、外部の有識者による「経営委員会」の設置が認められたことに起因していると私は見ている。

 委員会のメンバーを見渡すと、奥田碩トヨタ自動車前会長、和田紀夫NTT相談役という財界の超大物がお二人。ほかには住田裕子弁護士や、大学教授、生活経済ジャーナリストといった構成だ。競馬に造詣が深いとは思えない方々にJRAのバランスシートをお見せして経営収支の改善をテーマとして語ってもらえば、数字のよくないローカル開催を削る提言が出てくるのは執行部の筋書き通りに違いない。

 驚くのは、この委員会がJRAの最高の意思決定機関とされていること。こんなモノ凄い法律が知らないうちに通っていて、ファン軽視の免罪符となっているなら空恐ろしいことだ。

 来年の夏も予断を許さない。札幌競馬場が改修工事で使えないため北海道開催は変則にならざるを得ないが、小倉もさらに短縮されるという観測もある。

 地域への貢献を疎かにしては競馬が本来持っているスポーツ性も失われてしまう。いまこそ自治体を促してでも声をあげなければいけないのではないか。

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