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W杯直前で涙を飲んだ男たちの
言葉と生き方。
~ロマーリオ、ベッカム、バラック~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byGetty Images

posted2010/06/06 08:00

W杯直前で涙を飲んだ男たちの言葉と生き方。~ロマーリオ、ベッカム、バラック~<Number Web> photograph by Getty Images

バラック(左)は5月15日FAカップ決勝で負傷。直後の代表合宿でレーブ監督と話し込む

 ワールドカップ開幕までひと月を切った時点で、ドイツ代表MFミヒャエル・バラックが負傷――。このニュースは、世界を駆け巡った。

 大会出場絶望という診断結果を聞いた彼は、「ワールドカップ前のシーズン最後の試合でこんなことになるとは……。大きな失望だ」とショックを隠しきれない様子だった。

 過去を振り返ってみても、ワールドカップ直前のスター選手の負傷というのはこれまでに何度も起きてきた。

 中でも記憶に残っているのが'98年フランス大会のロマーリオだ。

 当時、ブラジル代表のロナウドとロマーリオの2トップは、“Ro-Roコンビ”として期待される存在だったが、ロマーリオは大会直前に負傷。チームを離れる際の記者会見で流した涙は印象的だった。ロマーリオは今年4月に行なわれたインタビューの中でも「あの落選は私のキャリアで最も悲しい瞬間だった」と振り返っている。

 だが、ワールドカップ出場を逃した後の切り替えは早かった。

「サッカーはワールドカップだけじゃない」とブラジル国内リーグなどでゴールを決め続け、'07年にはキャリア通算1000ゴールを達成。40歳を超えてからもプレーを続け、その姿はブラジル国民の心に強く刻まれている。

負傷後、アフガンに駐留する英国軍を訪問したベッカム。

 今大会も、すでにイングランド代表のデイビッド・ベッカムが3月のアキレス腱断裂で出場の望みを絶たれた。

 しかし、彼は負傷後も2018年ワールドカップのイングランド招致活動や、アフガニスタンに駐留する英国軍を訪問するなど、実に精力的に活動している。

 アフガニスタンでは「負傷しているのに何故こんな所まで?」との問いに対し、「英国軍のキャンプは長年訪問したかった。負傷している今はそんなやりたいことをやれるチャンスだ」と答えている。

 '98年大会を逃した当時ロマーリオは32歳、そしてベッカムは今年35歳と、どちらもキャリア最後となるであろうワールドカップへの思いは強かったはず。しかし負傷後の生き方は、とても力強い。

「ワールドカップだけが全てじゃない」という男たちの言葉と行動は、今後のバラックのサッカー人生においても、ひとつの支えとなるかもしれない。

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