円滑なコミュニケーションで最終ラインのリーダーに!?

　この前提条件をクリアすれば、プレミア史上初の日本人DFが、定期的にピッチに立てる可能性は高い。現在の正CBコンビは、ヨス・ホーイフェルトとジョゼ・フォンテ。

　ホーイフェルトは、フィジカル過多なDFの典型だ。例えば、マンU戦で与えたPK。ゴールを背にパスを受けたファンペルシの頭には、「ターンしてシュート」と共に、「タックルを受けてPK」というシナリオがあったはず。結果的にPKに失敗したとはいえ、背後から両足タックルに出たホーイフェルトは、ファンペルシの思う壷だった。

　フォンテの弱点は集中力。マンU戦での3失点のうち2点は、セットプレーから奪われている。前週のウィガン戦（0－2）でも、油断からボールを奪われて失点を招いたばかりだった。

　チームでは吉田の先輩格となる両CBだが、プレミアは2人とも今季が初体験。吉田は、英語でのコミュニケーションも昨季までのオランダで慣れているだけに、確かなテクニックに基づく落ち着いた守備と共に、最終ラインでリーダーシップをも発揮する意気込みで、定位置獲りに臨むべきだ。

開幕3連敗のサウサンプトンは守備力の改善が急務。

　但し、今季後半には、より厳しいポジション争いが待ち受けているかもしれない。クラブが、プレミア残留に必死であることは、今夏の補強に25億円以上を費やした事実が物語る。リーグ戦3試合で8失点の守備が大幅に改善されない限り、今冬の移籍市場で守備面の即戦力獲得に動くことは間違いない。

　その際には、日本人2名を獲った監督の首も怪しい。サウサンプトンは、開幕戦でマンチェスター・Cとも接戦を演じている（2－3）。だが、逆に、攻撃精神が裏目に出て終盤に逆転されるという負けパターンを、マンU戦で繰り返したとも言える。ファンの間では、初挑戦のプレミアで「監督にも時間を与えるべき」との声が強いが、経営陣には、アラン・パーデュー（現ニューカッスル監督）を、わずか1年で解雇した前例がある。ブックメイカーによる解任レース予想では、開幕前の時点で、最有力視されたアドキンスに4倍という最低オッズがついていた。20チームで唯一の3連敗スタートを切ったチームの指揮官は、外野の予想通りに走り出した格好だ。

　もっとも、チームのスタイルと同様にポジティブなアドキンスは、「世間を見返してやろうじゃないか！」と威勢がいい。日本人2名を含め、世に真価を知らしめたいサウサンプトンの戦いは、代表ウィーク明けの15日、強豪アーセナルとの第4節で再開される。