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ロンドンの“非日常”から、
東京招致の条件を考える。
 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph by Ryosuke Menju/JMPA

posted2012/08/20 06:00

ロンドンの“非日常”から、東京招致の条件を考える。<Number Web> photograph by  Ryosuke Menju/JMPA

 今日は8月9日。ロンドン五輪はフィナーレ間近だ。

 各会場は、一部空席もあったが、おおむね大勢の観客が集まり、盛り上がりを見せた。一方で街の様子は、と見れば、総体的には淡々とした情景が続いた。あくまで主観だが、最後まで街の温度が上がらないように感じられたのだ。

 多数の観光客でにぎわいを見せたアテネ、初のオリンピックに高揚した北京、あまりの騒ぎっぷりに酒類販売禁止令も出たバンクーバーの街中の盛り上がりとは異なる。開幕前の調査会社の報告では、オリンピックに関心があるイギリス人は50%以下と、調査した国の中では低いとあったが、それを裏付けているようでもある。

 理由には、仕事、生活などへの悪影響もあったのではないか。ロンドンを訪れる観光客が例年の3分の1になり痛手だというニュースがあった。片側2車線の道路の1車線が「オリンピックレーン」となり、五輪関係車専用となったことで激しい渋滞も続いた。メディア用のバスに乗っていて隣の車線の運転手から厳しい視線を浴びたこともある。

IOCと五輪組織委員会の間で定められた規約は、万単位との報道も。

 ロンドンでは東京都が招致活動を行なっていたが、開催するとなれば同じように生活などへの影響は免れない。レーンにしても五輪組織委員会が自ら実施したものではなく国際オリンピック委員会(IOC)の指示だから、東京も同様に求められるだろう。「GQ JAPAN」にアメリカ人ジャーナリストの記事が掲載されていたが、開催にあたり、IOCとの間には何万という規約が定められたという。

 レーンのほか、「オリンピックファミリーのために運転手付きのリムジン500台を用意する」「IOC関係者のために5ツ星ホテルを含むホテルの客室4000室を用意すること」……これらは一例にすぎない。開催地になれば、それら多大な要求を呑まなければならない。海外へ向けて、東京での開催の意義を訴えていくことも重要だが、東京都民に、オリンピックの価値をどう伝え、理解を求めていくのかも大切な作業である。

 4年に一度の大舞台にかける選手たちの姿は素晴らしい。場内の歓声にもわくわくする。日本でオリンピックを観たいという気持ちはある。だからこそ、招致へ向けて、丁寧な活動を積み重ねていくことを望みたい。

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