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トレード期限で直面した、
ベテランの厳しい現実。
~松井、イチローだけでなく~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2012/08/21 06:00

トレード期限で直面した、ベテランの厳しい現実。~松井、イチローだけでなく~<Number Web> photograph by AFLO

左から松井、デーモン、アブレイユ。奇しくも元同僚3人が野球人生の岐路に立たされた。

 各球団のGMにとって、1年を通してもっとも多忙と言われる7月31日が過ぎ去った。トレード期限のこの日、締め切り直前にカブスの先発投手、デンプスターがレンジャーズへ、フィリーズがビクトリーノ、ペンスの両外野手を、それぞれドジャース、ジャイアンツへ放出するなど、今季も最後まで移籍折衝は白熱した。

 公式戦の残り2カ月で、プレーオフ進出の可能性があるチーム、さらに世界一を目指す上位球団にとって、最後の補強チャンスは、チーム内の士気を高めるうえでも極めて重要視されてきた。

 その一方で、この日を境に、各チームの戦略や方針はよりシビアな形で表面化する。7月25日、松井秀喜がレイズから戦力外通告を受けたのをはじめ、ドジャースが通算286本塁打のアブレイユを放出、さらにインディアンスが通算2769安打のデーモンとの契約を打ち切った。図らずも、ヤンキース時代に松井と一緒にプレーした経験のあるベテラン外野手が、ほぼ同時期にプレー機会を失った。3人とも実績だけでなく、人間性も高く評価される選手だが、いずれも38歳。今季の成績が低迷したことで、シーズン半ばにして厳しい現実に直面した。

 というのも、それほど大幅な刷新に踏み切らない限り、チームの改革が進まないからだ。成績が伸び悩む松井に対し、レイズのマドン監督は「彼はプロフェッショナル。近いうちに調子は上がるはず」と期待を込めて話していたが、トレード期限を目前に控え、最後はかばいきれなくなった。ベテランを必要とするチーム事情がある半面、真っ先に「整理対象」となるのも高齢選手にほかならない。

契約最終年のオフを前に、先手を打って環境を変えたイチロー。

 7月23日、ヤンキースに電撃移籍したイチローにしても、マリナーズの再建策を考慮したうえでトレードを申し入れた。

「20歳代前半の選手が多いこのチームの来年以降の将来に、僕がいるべきでないのではないか」

 契約最終年のオフを前に、自分が置かれた立場を客観視し、先手を打つ形で環境を変えたのは、イチローならではの選択だったともいえる。

 イチローほどの実績があっても、改革の波には逆らえない。メジャーで7月31日が大きな意味を持つ理由は、単にトレード期限というだけではない。

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