交流戦は監督の腕の見せどころである。
セ・リーグの監督であれば、パ・リーグの本拠地に乗り込んで指名打者をどう使うのか、反対にパ・リーグの監督たちは指名打者を使えない時にどんな采配を見せるのかが問われる。
今回、取り上げたいのは阪神だ。
阪神が交流戦で負け越している。
先発のやりくりに苦労しているのは分かるが、打者の顔ぶれを見ると、負け越すような布陣ではない。何かがおかしいのでは……と思って調べていくと、交流戦前半の打線の組み方に疑問符をつけたくなった。
OPSの数値はどうやって生みだされるのか?
このコラムではアメリカで選手を分析する時に用いられる指標をたびたび紹介しているが、中でも出塁率と長打率の和である「OPS」と呼ばれる数値はどのメディア、どんな記者でも使いこなしているものだ。
今回、OPSを使って阪神の打線を分析していくと、特に交流戦前半はチグハグな組み方をしていたことが見えてきた。
ではなぜ、このOPSが重んじられているのかを考えていこう。アメリカでは次のような発想をしているからだ。
●出塁率
言うまでもなく、どれだけ塁に出ているかを示すデータ。出塁しないことにはチャンスを作れないので、「チャンスメイク率」といった発想から重視されるようになった。この指標では、四球と本塁打はまったく同じ価値を持つ。
●長打率
長打率は誤解を招きやすい数値である。ヒットにおける長打の割合を示す数値ではない。計算式は「塁打数÷打数」で導きだす。たとえば4打数2安打の打者がふたりいるとして、単打2本を打った打者と、二塁打と本塁打を打った打者の長打率を比較してみよう。
単打2本(1×2=2)の場合は2÷4で.500。二塁打(2)と本塁打(4)の場合(2+4=6)は6÷4で1.500。アメリカでは長打率の数値が高ければ高いほど、得点に絡むチャンスが増えると考える。
そしてこの出塁率と長打率を足した数字が「OPS」になる。突き詰めていくと、アメリカでこの数値が重視されるのは、得点、得点機をどれだけ演出できるかという指標になっているからである。
<次ページへ続く>
筆者プロフィール
生島淳
1967年気仙沼生まれ。早大卒。NBAやMLBなど海外ものから、国内のラグビー、駅伝、野球など、全ジャンルでスポーツを追うジャーナリスト。小林信彦とD・ハルバースタムを愛する米国大統領マニアにして、カーリングが趣味(最近は歌舞伎に夢中)。
著書に『慶応ラグビー「百年の歓喜」』(文藝春秋)、『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)、『監督と大学駅伝』(日刊スポーツ出版社)など。『BSベストスポーツ』(NHK・BS1毎週日曜21:10~)、『生島淳のアクティブスタイル』(TBSラジオ毎週日曜正午~)にも出演中。

































