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ランク3位のストーナーが
“強さ”を感じさせるわけ。
~モトGP引退表明後も存在感~ 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2012/08/18 08:00

引退を決意したからこそなのか、その表情は自然体でレースを楽しんでいるように見える。

引退を決意したからこそなのか、その表情は自然体でレースを楽しんでいるように見える。

 シーズンの折り返し点となる第10戦アメリカGPは、昨年のチャンピオンで今季限りの引退を表明しているC・ストーナーが3戦ぶりに優勝した。2位にJ・ロレンソ、3位にD・ペドロサで、チャンピオン争いを繰り広げる3強が今季5回目の表彰台独占を果たした。

 優勝回数はロレンソ5、ストーナー4、ペドロサ1。総合ポイントでは2年ぶりのタイトル奪還を目指すロレンソが首位で、23点差でペドロサ。ストーナーが32点差の3番手と続く。

 昨年は、ホンダのモトGPマシンのパフォーマンスを武器にストーナーがライバルを圧倒した。800ccから1000ccに排気量が引き上げられた今年も2連覇が期待されたが、シーズン開幕前にマシンの最低重量が引き上げられ、さらに、シーズン途中にブリヂストンのニュータイヤが投入されたことが影響して、思いのほか苦戦している。

 車両規定に合わせ、タイヤのパフォーマンスを引き出すためのピンポイントのバイク作りをするホンダにとって、こうした変化は、どのメーカーよりも大きな影響を受けることになる。そのため、急ピッチで改良が進められているが、ストーナーにとってはフラストレーションをためるレースも多く、これが総合3位に沈む大きな理由となっている。

首位を走るロレンソとの直接対決で3勝を挙げる勝負強さ。

 ポイントリーダーはロレンソだが、印象に残るのはストーナーの強さだ。アメリカGPでロレンソとのマッチレースを制したように、今季4勝のうち3勝は直接対決を制してのものだ。それが「ストーナー強し」という印象を際立たせているのだ。

 ストーナーをホンダに加入させた中本修平HRC副社長は語る。

「今年は苦戦していますが、もし、ルールが変更されず、去年と同じタイヤで走らせてもらえたら、こんな状況にはなっていないと思う。彼は天才でしょうね。18戦あれば18勝できると心から思っていますからね」

 今年の開幕前に子供が生まれた。シーズン序盤には引退を表明した。それがレースにどう影響するか案じられたが、ストーナーに心配は無用だった。苦戦していることは間違いない。しかし、今年限りの天才の走りを、しっかり瞼に焼き付かせておかなければと思うばかりである。

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