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<W杯連覇なんて出来っこない?> ガットゥーゾの反論。 「俺の答えは、ノープロブレム」 

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クリスティアーノ・ルイウ

クリスティアーノ・ルイウCristiano Ruiu

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photograph byGetty Images

posted2010/06/01 06:00

<W杯連覇なんて出来っこない?> ガットゥーゾの反論。 「俺の答えは、ノープロブレム」<Number Web> photograph by Getty Images

「ブラジルが持っていない力を俺たちは持っている」

――君は連覇は可能だと思う?

「そのために俺たちは南アへ行く。当たり前だろ? もちろん難しいことは知ってるさ。技術的に俺たちが世界最強だとは思ってないよ。ただ勝負ってのはやってみなきゃ分からないわけで、難しい戦いだからこそ挑む価値がある。無理だと言われるほどモチベーションが高まるんだ。とにかく、そう簡単に“世界王者”の肩書きは譲らないよ」

――ただ現実には、ブラジルとスペインの優位は動きそうにない。どちらかの優勝を予想する声が圧倒的だよね。

「いつも通りにブラジルは強い。でも、だからって常にアイツらが勝つわけじゃない。ブラジルが持っていない力を俺たちは持っている。守備でイタリアに肩を並べられる国はそう多くないはずだ。唯一、ファビオ・カペッロ率いるイングランドだけだと思う」

――スペインに対する印象は?

「ヤツらと当たるとすれば準々決勝か。まあどこだっていいんだが、この前('08年)のユーロの借りは返さなきゃな。あの試合はPK戦で決まったから、実際のところ負けたって意識はないんだけどね。いずれにしても、俺たちが続けて負けるわけにはいかないよ」

スペインと当たったら「超の付く面白い試合」になる。

――とはいえ、スペインは間違いなく強い。

「そんなの言われなくたって知ってるさ(笑)。とくにあのシャビとイニエスタ、(セスク・)ファブレガスが構成する中盤は世界最強だよ。初優勝に懸ける思いは半端じゃないだろうしな。でもまぁ、仮に俺たちと当たるとなれば、それは世界王者対欧州覇者、超の付く面白い試合になることだけは確かだ。考えただけで燃えてくるよ(笑)。

 ただし、その前に倒すべき相手がいる。特にグループリーグの初戦は難しい試合になるだろうね。相手のパラグアイは、もしかすると今大会のサプライズになるかもしれない国だからな。アイツらのポゼッションには要注意だよ。ただ、それが連中の強みだとしても、俺たちが典型的なイタリアンスタイルに徹すれば、そのパス回しの威力は半減し、スピードも落ちる。そうやって相手を誘き寄せておいて鋭く背後を刺す。そのタイミングを間違えないことが鍵になるはずだ」

――そして2戦目はニュージーランド、3戦目はスロバキア。ニュージーランドには勝って当たり前だと思われているけど……。

「勝って当たり前なんて試合がW杯にあるわけないだろ! 4年前の決勝トーナメント1回戦を覚えてるか? オーストラリアはメディアの大半が『楽勝だ』って言ってた相手だよ。ところが実際は、大苦戦の末に1-0でギリギリ勝利。あの大会の7試合で一番キツかった試合だ。僅かでもナメた瞬間に足をすくわれる。これまで何度も難しい試合を経験してきた俺たちは、一瞬の油断がもたらす怖さってのを嫌というほど知ってるんだよ」

【次ページ】 「パオロ・マルディーニの受け売りなんだけど……」

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