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Jリーグコラム
限界説もささやかれていたが、ここ数年で最高のプレーを見せている中村俊輔。年齢を重ねても、彼の類いまれなセンスは全く損なわれてはいない。
photograph by AFLO
Jリーグ万歳!

南アフリカでの失意から2年を経て、
中村俊輔が取り戻したプレーの輝き。

細江克弥 = 文

text by Katsuya Hosoe

photograph by AFLO

 8月11日、新潟に3-2と競り勝った横浜FMは、首位広島との勝ち点差6の5位に浮上した。第8節神戸戦から14試合続く無敗記録は、第7節までの4分3敗という低迷が嘘のような好成績である。

 この新潟戦で最も印象的なパフォーマンスを見せたのが、左腕にキャプテンマークを巻く中村俊輔だった。

 3つのゴールはセットプレーから生まれたものだが、中澤佑二の頭にCKとFKを1本ずつ、さらにマルキーニョスの頭にFKを合わせて3アシストを記録したのはもちろん中村である。90分間で3つのゴールを生むプレースキックの魅力は、やはりそう簡単には色褪せない。

 この試合で際立ったのはプレースキックの精度だけではない。密集で複数の相手をかわす技術、相手に飛び込ませない懐の深いキープ、有効なスペースを見極めてそこに何気なく入り込む絶妙のポジショニング、さらに試合の流れや時間帯に応じた“役割の変化”と、中村は一つひとつのプレーに技術やセンスにおける格の違いを感じさせた。

絶妙なタイミングを察知する嗅覚はいまだ衰えず。

 まずは8分。センターサークル付近で後方からの浮き球を柔らかくトラップすると、ボールの落ち際を狙って飛び込んで来た菊地直哉を一瞬の加速でかわし、さらに小さく鋭い切り返しで田中亜土夢の逆を取る。自身が空けた右サイドには、右サイドバックの小林祐三がオーバーラップ。その足下にぴたりと合わせるグラウンダーのパスで、小林からの質の高いアーリークロスをお膳立てする。

 続いて12分。最終ラインからパスを受けて前を向き、ゆったりとボールを運んでセンターサークルに入る。しかし次の瞬間、中村は突如として強く踏み込み、左足のインサイドキックで球足の鋭い縦パスを送る。前方に立つ2人のDFの間を抜けたスルーパスは惜しくも相手DFのタックルに引っ掛かったが、相手守備陣の背後を狙った小野裕二に通れば決定機となる紙一重の場面だった。様々な球種を蹴り分けるスルーパスは彼の代名詞とも言えるプレーの一つだが、その技術はもちろん、タイミングを察知するアンテナの精度は34歳になった今も衰えていない。

<次ページへ続く>

【次ページ】 司令塔としてだけではなく、得点に絡む意欲も十分。

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