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J2やJFLよりタイリーグに行くべき?
“微笑の国”の知られざる蹴球事情。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byAFLO

posted2012/08/15 10:30

J2やJFLよりタイリーグに行くべき?“微笑の国”の知られざる蹴球事情。<Number Web> photograph by AFLO

2007年、U-20日本代表のポルトガル遠征でカーボ・ベルデ代表と対戦した小澤竜己。当時の代表には香川真司や伊藤翔、梅崎司などもいた。

タイリーグは入るのも、活躍するのも簡単じゃない。

「試合の2日前から乗馬の施設がついているようなホテルで前泊していました。日本の関係者の間でも『タイリーグがすごいぞ』と噂になっているらしく、僕のフェイスブックにもよく問い合わせがくるんですよ」

 小澤はパタヤで着実に出場数を増やしていたものの、今年6月に中足骨を骨折してしまい、クラブ側からの「外国人枠を空けたい」という申し出を受け、契約を解除した。現在はヨーロッパへの移籍の準備を進めている。

 小澤はタイに行ったことを、まったく後悔していなかった。

「アフリカから来る選手に勝たなければいけないので、タイは入るのも簡単じゃないし、活躍するのも簡単じゃない。けれど、J2やJFLでぎりぎりの生活をするんだったら、タイで挑戦する方が絶対にいいと思います」

Jリーグとの提携も始まり、今後が注目されるタイリーグとの交流。

 タイを評価する理由は、もちろん金銭面だけではない。

「日本では一度、下のリーグに落ちたら、這い上がるのは難しい。それは僕自身が下を見たから、わかったことでもあります。それに対して、タイは結果を出せば上に行ける。スカウトが毎試合観に来ていて、ゴールすれば対戦相手からもオファーが来る。日本にいたときも全力で試合に臨んでいたつもりですけど、さらにひとつの試合にかける思いが強くなるんです」

 現在、タイのプレミアリーグでは約30人の日本人選手がプレーしている。今年からJリーグとの提携も始まった。もし今後、タイのプレミアリーグと、J2やJFLが選手獲得で競争になれば、日本サッカー界にとって大きな刺激になる。

 今後、さらにタイのプレミアリーグが盛り上がり、両国の人材交流が進めば、Jリーグの発展にとっても大きなプラスになりそうだ。

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小澤竜己
パタヤ・ユナイテッド

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