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女子バレー、韓国破り悲願のメダル。
快挙をもたらした完璧なプランとは。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byAsami Enomoto/JMPA

posted2012/08/12 11:50

女子バレー、韓国破り悲願のメダル。快挙をもたらした完璧なプランとは。<Number Web> photograph by Asami Enomoto/JMPA

3-0で韓国を破り、女子バレー28年ぶりの銅メダルを獲得した眞鍋ジャパン。試合後のコートには、両手で顔を覆いむせび泣く選手たちの姿があった。

韓国戦、江畑に代え、迫田を先発起用した意図。

 この日、眞鍋政義監督は、3試合連続で先発していた江畑幸子に代え、迫田を先発に起用していた。韓国との相性のよさと、ブロック力を買っての判断だった。

「韓国は、キム・ヨンギョン、ハン・ソンイのレフト側の攻撃力が高く、逆にライト側の攻撃が少ない。それを踏まえた戦術が効果的に相手にプレッシャーを与えていたんじゃないかと思います」と渡辺アナリスト。

 両サイドのブロッカーを入れ替え、本来は相手のライト攻撃に対応する木村と迫田のブロックを、この日は韓国のレフト攻撃にぶつけた。身長192cmのヨンギョンは、それでも2枚ブロックの上からスパイクを打ち込んできたが、その対角のソンイに対しては、迫田のブロックでワンタッチを取るなど、有効だった。

5月の敗戦をムダにせず、大舞台で果たしたリベンジ。

 5月のロンドン五輪世界最終予選では、キム・ヨンギョンを抑えられなかっただけでなく、セッター対角に入った新星のキム・ヒジンにも振り回され、セットカウント1-3で敗れた。しかし同じ轍は踏まない。守備が得意でないヒジンのところにフェイントを落とすなど、じわじわと負担をかけた。また、キム・ヒジンに対しても、得意なスパイクコースへのディグ(スパイクレシーブ)できっちり対応し、機能させなかった。5月の敗戦をムダにせず、日本は大舞台でリベンジを果たした。

「選手がやってくれましたね。本当に感激しています」と指揮官は興奮を抑えきれなかった。

「2009年から、このためにやってきましたから。準決勝でブラジルに負けてどうかな、と思ってましたけど、本当に気持ちを切り替えて、選手13名プラス、スタッフで、一致団結してやったことが勝因だと思います」

 監督就任と同時に掲げた「ロンドン五輪のメダル獲得」という目標。1984年ロサンゼルス五輪以降メダルから遠ざかっていた日本にとっては、とてつもなく大きな目標だった。それを見事に達成し、究極の有言実行を成し遂げた。

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