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推察力と責任感で劣勢覆し、
可夢偉が自己最高4位に。
~F1通算50戦目、成長見せた一戦~ 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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posted2012/08/09 06:00

推察力と責任感で劣勢覆し、可夢偉が自己最高4位に。~F1通算50戦目、成長見せた一戦~<Number Web> photograph by AFLO

小林(手前)と同僚のペレスはそれぞれ12番、17番手スタートから4、6位まで登り詰めた。

 この「4位」は表彰台に匹敵するくらい価値がある――。

 第10戦ドイツGP決勝で50戦目を迎えた小林可夢偉は、昨年モナコGPと今年スペインGPに続く自己ベスト・タイの5位でゴール。約2時間後、2位S・ベッテルがJ・バトンをコース外で追い越したプレーに関して、レースタイムに20秒加算のペナルティーを科された。ベッテルから18.193秒遅れだった小林は、この裁定により正式結果4位とされ、くぎりの50戦目にして自己ベストを更新。また、レース中盤には最速ラップを複数周回でマークした。

 母国でメルセデス勢のM・シューマッハーが最速ラップ1位、N・ロズベルグが3位となったが、3回ストップでスプリント走行に徹したベストタイムだ。2回作戦の小林は、同じ作戦で勝利したF・アロンソの2位タイムにわずか0.117秒差の4位。レースペースの実力測定をすれば彼のザウバーはフェラーリに最も近い2位レベルにあったと思う。

 この「最速ラップ4位」は、すべてのチームが雨に振り回される中、しっかりと日曜のドライ・コンディションに合わせたセットアップを進めた推察力の賜物だ。僕はそこに小林の成長を強く感じる。

ピットストップ事故から芽生えた、コース上で取り戻す責任感。

 雨の予選でチームがもたついた部分もあり、本人曰く「非常に残念な」12位グリッドからのレースを余儀なくされた。しかし、いつもと違いスタート後のジャンプアップに賭けずむしろ慎重にポジションをキープ。またイギリスGPで自分のミスからピットストップ事故を起こした後だけに安全第一でレースを進める。焦りを抑え、そこでたとえタイムロスしても自分がコース上で取り戻すのだという責任感にも成長を見て取れる。

 日本人F1パイオニアたる中嶋悟は'87年から'91年まで74戦し、自己最高は予選6位、決勝4位、最速ラップ1回。そして鈴木亜久里が'90年に決勝3位まで上がり、'04年には佐藤琢磨が予選2位、決勝3位までいった。小林は今年中国GPで予選3位と最速ラップ、このドイツGPで決勝4位。先輩たちを超える“F1日本新記録”を目指すだけではない志を抱いている。

「僕のベストGPはまだないですから」。50戦目のスタートを前に小林はそう言って、この結果を出しきった――。

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