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様々なトラブルを乗り越えて……。
室伏、銅獲得で示した百戦錬磨の証。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byTetsuya Higashikawa/JMPA

posted2012/08/06 11:40

様々なトラブルを乗り越えて……。室伏、銅獲得で示した百戦錬磨の証。<Number Web> photograph by Tetsuya Higashikawa/JMPA

37歳で臨んだ3度目のオリンピック。後半、距離を伸ばすことはできなかったが、今季自己ベストを記録するなど、大一番で強さを見せた。

 難しい試合だったのではないか。

 8月5日、ハンマー投げの決勝に室伏広治は登場した。それは、トラブルに巻き込まれながらの試合となった。

 前々日に行なわれた予選では、今シーズンのベストとなる78m48を記録し、全体の2位で通過。

「サークルの感触を確かめることができました」

 と、手ごたえを得て迎えたのが、決勝だった。

 1投目、その手ごたえのままに、78mあたりまで飛ばす。ところが、これがなぜか、「ファウル」と判定される。

 室伏は、審判のもとに寄ると、説明を求めた。表情は険しい。審判の説明は、持ち時間の1分を過ぎていたためであるからということだった。

 それはルールとして定められている。しかし、室伏の投げる直前、実は表彰式が行なわれていた。表彰式の間は競技を中断するのが通常だ。だから室伏も表彰式が終わったあとから持ち時間がカウントされるものと考えていた。それが審判とずれていた。

横になり、暗くなった空を見上げてから臨んだ2投目。

「表彰のどこが終わりなのかを告げられていなかったのが問題です」

 と、室伏はこの場面を振り返る。結局、そのタイミングがあいまいだったため、室伏は、まだ時間内と判断していたのだ。

 いずれにせよ、ファウルとされて、1投目は終わった。

 気を取り直して迎えようとした2投目。ここでも、アクシデントに見舞われる。

 室伏の2人前の順番だった優勝候補の一人、プリモス・コズムスがハンマーをネットに当ててファウル。このハンマーがネットから取れなくなってしまい、取り外すために競技は中断をよぎなくされた。

 すると、室伏は横になり、暗くなった空を見上げているかのように上を見つめ続けた。

 競技が再開される。室伏は2投目に78m16を記録すると、3投目には、78m71と、シーズンベストを更新し、3位に上がる。

 4投目から6投目ではこの記録を上回ることはなかったが、他の選手に抜かれることもなく、結果、3投目の記録により、銅メダルを獲得することになった。

【次ページ】 予想外の判定や競技中断にも動じずに投げきった室伏。

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