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<W杯の正しい見方> フース・ヒディンク 「ガーナとスロベニアに番狂わせの匂いがする」 

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ジミー・フロントストラ

ジミー・フロントストラJimmy Grondstra

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posted2010/05/28 06:00

<W杯の正しい見方> フース・ヒディンク 「ガーナとスロベニアに番狂わせの匂いがする」<Number Web> photograph by Getty Images

ジャイアントキリングの匂いがする国は……。

 一方、今大会で番狂わせを起こしそうなのは、どこの国だろうか。

 まず私が注目しているのは、アフリカのチームだ。とくにエッシェンやムンタリのいるガーナは総合力が高い。また、ひそかに注目しているのがスロベニアだ。テクニックのある選手が揃っているのに、評価が低すぎる。ジャイアントキリングを起こしそうな匂いがプンプンしているね。ロシアはプレーオフでスロベニアに敗れたから、私は彼らの強さを身をもって知っている。

 W杯で波乱を起こすチームになるためには、前評判を無視することが大切だ。相手チームへの恐れなど、頭から吹き飛ばさなければならない。自分の力をすべて出し、W杯の舞台で誇りを勝ち取るんだという野心と情熱がなければ、サプライズは起こせない。

日本は自分たちの立場をわきまえた方がいい。

 では、日本はどうか? もちろんどのチームにも世界を驚かすチャンスはある。しかし残念ながら、私は今回、日本はグループリーグで姿を消すと見ている。

 日本はオランダ、デンマーク、カメルーンと同じ組に入った。この3つのチームと比べると、現時点の日本は“基準”に達しているとは言えない。自分たちの立場をわきまえてスタートするほうがベターだろう。私はカメルーンとオランダがグループリーグを勝ち上がると予想している。

 サッカーというのは、シンプルなスポーツだ。親善試合だろうと結果を出さなければ、チームを取り巻く雰囲気が悪くなり、監督が批判されるのは当然だ。もし私が日本代表にひとつ言えることがあるとすれば、W杯まで練習だろうがテストマッチだろうが、常にいい結果を出すことにこだわるべき、ということだ。そうすれば自然とチームは、ポジティブな空気に包まれるだろう。

フース・ヒディンク(Guus Hiddink)

1946年11月8日、オランダ生まれ。現役時代はPSVなどでプレーする。監督としては'98年大会でオランダ代表を、'02年大会では韓国代表を率いW杯ベスト4。その後、ユーロ2008ではロシア代表をベスト4に導く

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