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錦織圭、92年ぶりのベスト4は逃すも、
五輪テニスに光を当てた快進撃。 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byGetty Images

posted2012/08/03 13:10

錦織圭、92年ぶりのベスト4は逃すも、五輪テニスに光を当てた快進撃。<Number Web> photograph by Getty Images

準々決勝、第15シードの錦織は、第8シードのデルポトロと対戦。第2セットはタイブレークまで粘ったが、同世代最大のライバルの壁は厚く、4-6、6-7とストレート負けを喫した。

第2セット、追い上げる錦織の足音におびえたデルポトロ。

 サービスゲームのキープにも苦しんだ。ファーストサーブの確率は69%とそれほど悪くなかったが、セカンドサーブを狙い撃ちされた。22本のセカンドサーブで、奪ったポイントはわずか8。結局、計4度のサービスブレークを許し、ゲームカウントでは常に相手に先行を許した。

 それでも、第1セット、第2セットとも懸命に追い上げ、中盤以降に追いついた。22歳の錦織にとって、1歳上のデルポトロは同世代で最強のライバル。いつまでも負けているわけにはいかない。追い上げは錦織の強い気持ちの表れだろう。

 第2セットは2-5から3ゲーム連取。デルポトロは、背後から急に近づいてくる錦織の足音におびえた。王手をかけて迎えたサービスゲームで2本のダブルフォールトを犯すなど、動揺の色を隠せなかった。

 しかし、あと一歩が届かなかった。ゴールテープを先に切ったのはデルポトロ。タイブレークを7-4で制した。世界ランク9位はやはり手強い。ただ、もう一度やれば、と期待を持たせる惜敗ではあった。

「風が強く、難しいコンディションだった。ただ、デルポトロはミスをせず、常に安定していた。彼のプレーがよかったと思う」と錦織は潔く敗戦を受け入れた。

申し分のない戦績にも見える錦織が抱く焦り。

 日本男子として五輪テニス競技では92年ぶりとなる4強入りは成らなかった。しかし、上位選手がほぼ順当に勝ち残った大会で、第15シードの錦織が第4シードのフェレールを破って準々決勝に進出したことは特筆される。

 先のウィンブルドン選手権で錦織は、こんな本音をぽろっと口にした。

「上の選手にも徐々に勝っていかないといけない。年齢も若手ではなくなっているので」

 昨シーズン、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破り、今年の全豪では6位のジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)を下した。申し分のない成績のようにも見えるが、彼は満足していなかったのだろう。腹筋の肉離れで、四大大会の全仏は出場できなかった。停滞感が、あるいは焦りにつながっていたのかもしれない。

【次ページ】 4年に一度の祭典の後は、ただちにツアーという日常へ。

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