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ブラジル 

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posted2010/06/01 00:00

ブラジル<Number Web>

  前回ドイツ大会でまさかのベスト8で終わったブラジルが、監督未経験のドゥンガに代表の指揮を任せたのは、選手たちにカナリア色のユニフォームを着る者に不可欠な誇りと責任感、そして情熱を植え付けるためだった。その期待に応えるように、ドゥンガは厳格な規律と実績にとらわれない選手起用で、チームに“セレソン魂”を注入した。
  しかも、実にシンプルに、そして徹底的なまでに結果にこだわった。ときには3ボランチも辞さない守備的布陣で、相手の攻撃の芽をつぶす勝利至上主義。その頑固なスタイルは当初、サッカーに「美しさ」を求める国民の賛同を得られなかったが、強固な守備を土台にコンフェデレーションズカップ優勝、南米予選1位通過という成績を残すことによって批判を封じ込めた。身体能力に優れ、ハードワークも辞さない屈強な選手たちで展開される堅守速攻型のサッカーは、「実利的で効率的だ」と支持者も増えつつある。
  そのうえ攻撃陣は多士済々だ。カカ、ロビーニョ、ファビアーノらの個人技が融合した速攻のバリエーションも豊富。特定のクラッキ(名手)や個々のひらめきに依存するのではなく、攻撃陣全員が機能的に連携しながらファンタジーを描き出す。つまり、方法論が変ったのだ。美しさを大前提に勝利を目指したスタイルから、勝利を最優先にしたうえでブラジルらしさを上乗せするスタイルへ。そのアプロ—チが国民たちに完全支持を得ているわけではないが、リアリズムを追求する闘将ドゥンガに、一切の迷いはない。

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