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井岡一翔を超える逸材?
「怪物クン」への大きな期待。
~19歳プロボクサー、井上尚弥~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

PROFILE

photograph byBOXING BEAT

posted2012/08/01 06:00

大橋会長らとプロ転向会見に臨んだ井上(中央左)。「4、5階級制覇を狙う」と超強気だ。

大橋会長らとプロ転向会見に臨んだ井上(中央左)。「4、5階級制覇を狙う」と超強気だ。

 ボクシング界に注目の「怪物クン」登場である。大橋ジムからプロ転向を決めた井上尚弥、この春高校を卒業したばかりの19歳だ。

 怪物というフレーズは、自身世界王者に2度君臨した大橋秀行会長が「自分の比ではない」と口にしたもの。風貌は怪物に似つかわしくないが、その強さはまさに言葉通りだ。

 指導者としても川嶋勝重、八重樫東の2人の世界王者を育てている大橋会長が、「世界チャンピオンにならない方がおかしい」とまで言うのだから、ただのホープではない。八重樫は先の井岡一翔との統一戦を前に200ラウンドのスパーを積んだが、唯一劣勢だったのが井上との対戦であり、大橋会長の証言によると「5Rのうち3Rは取られた」という。

 アマチュア時代の実績を物差しにすると、辰吉、亀田興は社会人王者、井岡は格上の全日本選手権準優勝、そして井上はさらに上をいく。「高校5冠」に全日本選手権優勝、そして国際大会優勝を加えて「7冠獲得」としている。フィギュアスケートや体操と違って、ボクシングはジュニア選手がシニアに勝つのが困難で、井上は例外中の例外である。

 高校3年で井岡が獲れなかった全日本選手権を制し、五輪予選を兼ねた世界選手権ではベスト16。井上に勝ったキューバのソトが予想通り決勝に残っていれば、井上もロンドンで戦っていたはずだった。だがソトは井上戦で激闘を演じて疲弊し、次戦でモンゴル人選手に敗退。井上にとっては不運だったが、これを機にリオ五輪を待たずにプロ転向を決断した。

「3回戦なら、今すぐでも井岡さんに勝つ自信がある」と豪語。

 井上は万能型のボクサーファイター型で、技術、スピード、軽量級とは思えない強打と、資質的にも群を抜いている。強気でカウンターを狙って倒す戦法は、プロでも人気が出そうだ。アマ戦績「75勝48KO6敗」。これが高校3年までに記録された数字というのもスゴい。「12回戦でなく(アマの)3回戦なら今すぐでも井岡さんに勝つ自信がある」と井上が言うのも、強がりではないだろう。

 世界王者が何人もいながら不況が続くボクシング界で唯一の救いは、近年「U-15大会」など低年齢層の育成に力を入れていること。こうした「キッズ世代」の代表格が井上であり、彼の活躍がさらなる強化に繋がると期待されている。

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