ミラノのウェイター、パオロ・サッコは今、世界で一番幸せなインテリスタに違いない。5月15日、ミラノではチャンピオンズリーグ決勝戦のチケット発売に合わせ、1000人単位のサポーターが夜を徹して窓口に並んだ。夜露をしのぐこと50時間、先頭にいたパオロ青年に“奇跡”が起きた。一番乗りの熱意に胸打たれたモウリーニョが彼への面会を希望し、クラブオフィスへ招待すると、自らのチケットを直々にプレゼントしたのである。
昨季の王者バルセロナとのセミファイナルを制して以降、インテリスタたちの合言葉は“Vamos a Madrid!(いざマドリード!)”となった。45年ぶりとなる欧州制覇だけでなく、イタリア勢として前人未到の3冠達成に期待がかかる。すでにコッパ・イタリア、スクデットの2冠は達成し、残るはバイエルンと争うCL優勝だ。
モウリーニョの来季は“銀河系監督”でほぼ決まり?
しかし、インテルには喉に刺さった小骨のように、決して無視できない問題がある。ほかならぬ指揮官モウリーニョの去就である。
彼のレアル・マドリーへの移籍話は、“白い巨人”がCL決勝トーナメント1回戦でリヨンに敗退した直後から浮上した。結果を出せない銀河系軍団に欠けているのは、“銀河系監督”。ペレス会長は破格の年俸1500万ユーロ、3年契約で招聘しようとしている。
モウリーニョは「来季のことはシーズン終了後に考える」と明言を避けてきたが、春の声を聞くころになると、これまでに見せなかった言動をちらほら見せるようになった。
CLでチェルシー、CSKA、そしてバルサとの戦いを制するなかで、モウリーニョは「インテルは完全に生まれ変わった。たとえ今季勝てなくても2、3年のうちに必ずCLで優勝できる」と繰り返した。明日をも知れぬ身の上であるイタリアの監督が、数年先の話をすることはまれである。自身の契約期間以降の話をすれば物笑いの種になるだけだからだ。それでもなおクラブの近い将来に触れたモウリーニョの真意は、徐々に明らかになっていった。
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