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<女子バレー司令塔の告白> 竹下佳江 「ラストチャレンジ」 

text by

吉井妙子

吉井妙子Taeko Yoshii

PROFILE

photograph byAsami Enomoto

posted2012/07/23 06:01

<女子バレー司令塔の告白> 竹下佳江 「ラストチャレンジ」<Number Web> photograph by Asami Enomoto
Number誌の特別連載「LONDON CALLING~ロンドンが呼んでいる~」。
7月27日の五輪開幕に向け、このシリーズを全文公開していきます!

今回はバレーボール女子日本代表、不動のセッター・竹下佳江。
14年間にわたってチームを牽引してきた彼女の悲願はもちろん、メダル獲得。
今まで蓄積してきた経験をすべてぶつけて、最後の五輪に挑む。
Number807号(7月6日発売)で、159cmの「小さな巨人」が語った決意とは。

 薄氷を踏む思いでロンドン五輪の出場切符を手に入れた全日本女子バレー。昨年末のW杯では、“世界の2強”といわれるブラジル、アメリカをストレートで破った残像があったせいか、5月末の世界最終予選(OQT)で苦戦するとは誰も予想しなかった。

 いや、一人だけいた。代表歴14年のセッター竹下佳江である。今年4月、全日本メンバーが招集された記者会見で、他の選手が「目標は金」、「メダルを獲りたい」と笑みを浮かべる中、竹下はきりりとした表情で、「まずは世界最終予選で切符を取ること」と語り、その姿勢を最終予選終了まで崩さなかった。

 攻撃のリズムを作るセンター線が機能せず、サイドは相手ブロックに狙われる。'10年の世界選手権で32年ぶりの銅メダルを獲得し、世界ランキングも3位に浮上したことから、竹下は「これから日本は、世界から徹底的に研究されるはず」と語っていたが、まさしくその通りになった。

 最後の試合となったセルビア戦後、竹下は「体調不良」の理由で記者会見を欠席。本人は絶対認めないものの、周りの話によると「全身が痙攣していた」という。

「歴代でも最も能力の高い」木村沙織の負担をいかに減らすか。

――最終予選は厳しい闘いでした。

「しんどいといえばしんどかったですけど、私は最初から厳しいと覚悟していたので、こんなはずじゃないなんて、焦ることはなかったですね。W杯の成績から楽観視していた人もいると思うけど、私は過去3回の闘いからOQTはそんな甘いもんじゃないことは知っていたし。でも、今回は本当に疲れました。大会後3日間休みがあったんですけど、疲れが取れなかった。身体というより頭が(笑)」

――切り込み隊長というべきセンターが使えないと、サイドも効果的に生かせません。

「サイド線が良くなっている分、センターが生かせないのはチームとしてはもったいない。サイドの(木村)沙織は、私が経験した歴代全日本の中では最も能力が高い選手。

 ただ今回、徹底して狙われていた沙織は、自分が決めなきゃとか、レシーブもきっちりと返さなきゃと背負い込んでいたので、プレッシャーは相当あったと思います。能力の高い選手ではあるけど、沙織の負担を減らすこともチームで考えないと。チームの柱がもう1本あると違う形が出来たんですけど……」

――眞鍋(政義)監督は「1位通過と言い過ぎて、余計なプレッシャーを与えてしまった」と反省の弁を述べていました。

「確かに監督は『必ず1位通過する』と口にしていたけど、みんながその難しさをどこまで理解していたかは分からない。だけど監督にすればそういう目標を立てるのは当然だと思います。1位通過のプレッシャーというより、OQTを初めて経験する選手が多かったから、ロシアや韓国など、これまでと違う顔で向かってくる対戦相手に戸惑ってしまったのかも」

【次ページ】 選手の前では沈黙を守った'00年最終予選の屈辱。

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