守備に疑念の余地はないが、反撃力には心許なさも。

　両サイドバックを務めるのは、来季から共にバルサでプレーするマルティン・モントーヤとジョルディ・アルバ。右のモントーヤはアルバロ・アルベロアほどフィジカル的に強くないが、タイミングを心得た攻め上がりとシンプルに周囲を使った連携での崩し、そして精確なクロスを武器とする器用な選手だ。

　先のEＵROで大活躍したアルバについては改めて説明の必要はないだろう。ブスケッツと同じくEＵROでフル稼働した彼の招集は驚きをもって受け止められたが、コンディション的に問題なければ戦力的に大きなプラスとなることは間違いない。

　センターバックのアルベルト・ボティアは、ジェラール・ピケの長所とカルレス・プジョルの短所を併せ持ったような選手だ。プジョルと同様、バルサのカンテラ上がりには珍しく足元の技術がいまいちで（だからトップチームに上がれなかった）、ビルドアップの起点としてはあまり期待できない。ただ守備面の安定感はピケ級で、対人守備や空中戦には滅法強い。その点ではミジャ監督も絶対の信頼を置いている。

　そんな彼の相方には、パス能力に長けたタイプがベストである。その意味で、ビクトル・ルイスとイニーゴ・マルティネスはバルサも注目するほど足元の技術に長けた現代型センターバックなのだが、これまでの起用法を見る限り、ミジャ監督はボティアと同じく守備力重視のアルバロ・ドミンゲスを並べることが予想される。

絶対的存在の陰に隠れていたロメウが攻守の鍵を握る。

　最終ラインからの組み立てが期待できないとなると、中盤の底に位置するブスケッツ役の選手はフル代表以上にビルドアップにおいて重要な存在となる。

　その役割を務めるのは、フル代表でもお馴染みのハビ・マルティネス、またはブスケッツという絶対的存在のせいでバルサのトップチーム昇格が叶わなかったオリオル・ロメウだ。キャプテンとしてチームをけん引するハビ・マルティネスの先発は保証されているが、彼はボティアの相方役としてセンターバックを務める可能性もある。その場合はブスケッツのような器用さはないが、フィジカルの強さでは勝るロメウが攻守のバランサーを担うことになる。

　その前方に位置する2人の司令塔は、スペインのボールポゼッションが「パス回しのためのパス回し」に終始するのか、相手の守備ブロックを切り崩すための有効なボディーブローとなるかを左右するキーマンとなる。

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