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実は……スペインよりイタリア有利?
ユーロ決勝を戦術&戦歴で検証する! 

text by

横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2012/07/01 08:02

実は……スペインよりイタリア有利?ユーロ決勝を戦術&戦歴で検証する!<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

デルボスケ(右)は「決勝では自分たちのサッカーをやるだけだ。必ず優勝し、新たな歴史を作る」と前人未到のメジャー大会3連勝(ユーロ2008、南アW杯、ユーロ2012)への夢を語っている。「スペインの方が試合経験もサッカーのクオリティでも上だ。だが……私たちは勝てる」と優勝候補のドイツを破り、勢いにのるプランデッリ。

前回イタリアがスペインに負けたのは90年も昔!

 なにしろ公式戦でスペインに敗れたのは1920年のアントワープ五輪が最後。以後、1世紀近く負け知らずを守っている。

 とはいえ、前回ユーロでスペインはイタリアとの準々決勝を突破しているから、以前ほどの苦手意識はないだろう。(PK戦を経ての勝ち抜けなので記録上は引き分け)

 グループステージで同組だった2チームによる決勝戦は'88年、'96年、'04年に次ぐ大会史上4度目。どちらも相手の力を一度体感しているので、非常に戦術的な戦いになりそうだ。

 6月10日の対戦では、プランデッリはディフェンスラインを3人に減らし、中盤の人数を増やして、スペインの心臓部に厳しいプレッシャーをかけた。

 おそらくこれを受け、試合の流れの中でデルボスケの方はそれまで一度も試したことがなかった“偽9番”を用いるシステムを急遽採用し、トーレスではなくセスクをトップの位置に据えた。中盤のヘルプと、敵センターバックの誘い出しを彼に課したわけだ。

 しかし、このシステムには欠かせない両サイドを開く選手がいなかったため、スペインの攻撃は停滞した。

 終盤になって流れを掴んだのは右ウイングのナバスが投入されたからである。ちなみに準決勝のポルトガル戦でもスペインの攻撃が形になり始めたのは、ナバスとペドロがピッチ上に揃った延長戦に入ってからだった。

スペインはグループステージと同じスタメンでの勝負か!?

 これを踏まえて考えると、決勝戦、スペインはナバスかペドロを先発させるべきだが、代わりに外す選手がいない。 

 シルバ、イニエスタ、シャビの3人はボール同様スペインサッカーの構成要素だし、守備のバランスに重きを置くデルボスケにとって中盤の底を締めるブスケッツ-アロンソのコンビはアンタッチャブルだ。

 となると、スペインは前回の対戦と同じメンバーでタイトル防衛に臨む可能性が高い。両サイドバックは高めのポジションをとるだろうが、ナバスやペドロはいつものとおり、後半からの出場になりそうだ。

 では、プランデッリはどう出るか。

【次ページ】 世界最高の技術・戦術がぶつかる決勝戦は、1点勝負に!

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チェーザレ・プランデッリ
ビセンテ・デルボスケ

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