最強のスペインを見事に封じたポルトガルの中盤3人。

　それにしても、ポルトガルは素晴らしかった。

　スペインはいま世界でいちばんフットボールが巧いチームだが、ポルトガルはスペイン人の好きなようにはさせなかった。たとえボールを支配されても勝負には負けない術を、彼らは熟知している。

　スペイン人たちは巧みな足技、軽快な身のこなしに加えて身体や視線の向きによって敵を動かし、わずかな隙間にボールを通そうとする。だが、ポルトガル人たちは簡単には騙されない。

　4-3-3の中盤の3枚、ラウール・メイレレス、ミゲル・ベローゾ、ジョアン・モウチーニョは、スペインの名人たちと互角に渡り合った。

　通されてはならないところを最後にきっちりと閉め、身体を絡めるようにしてボールを奪うと、確実に逆襲へとつなげていく。決して目立たない3人だが、ポルトガルがスペインの波状攻撃を受けなかったのは彼らのお陰といってもいい。

　騙されないポルトガルの守備にスペインもお手上げとなり、後半などは安全地帯でしかパスを回せなくなっていた。

　ポルトガルの選手たちは、この120分でまた株を上げたはずだ。

「終わってみたらスペイン」という圧倒的な勝負強さ。

　ユーロ2008、ワールドカップ2010に続いて、スペインはメジャー3大会連続優勝の偉業に王手をかけた。

　バルセロナのメッシ、レアル・マドリーのロナウドに代わるストライカーはいない（いたら大変なことになる）ものの、中盤の力によって順調にファイナルに勝ち上がった。

　かつてのスペインなら、いい勝負をしても負けていたところが、いまや「終わってみたらスペイン」という幕切れが定着し始めた。

　PK戦にも強い。

　これではまるでドイツである。

【次ページ】　右のヘスス・ナバス、左のペドロがファイナルのカギ。