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女子バレーの“攻撃力”。
~五輪メダル獲得の条件とは?~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byToshiya Kondo

posted2012/06/26 06:01

女子バレーの“攻撃力”。~五輪メダル獲得の条件とは?~<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

ロンドン五輪世界最終予選最終日、東京体育館で行われ、女子日本代表はセルビアにフルセットの末に敗れたが、上位3チームを除くアジア最上位(4位)となり、辛くも3大会連続の五輪出場を決めた。

 苦しんだものの、バレーボール女子日本代表は3大会連続のオリンピック出場を決めた。世界最終予選では、10連勝中だった韓国に3年7カ月ぶりに敗れ、厳しい状況に追い込まれたが、キューバをフルセットの末に下して立ち直った。

 世界最終予選4位通過という結果だけを見ると、ワールドカップで4位になった昨年より、チーム力が下がっているような印象を受けるかも知れない。だが、条件付きではあるものの、現在の日本が、ロンドン五輪でメダル候補の一角を占めていることに変わりはないだろう。なぜ、そう言えるのか。敗れた韓国戦の内容を詳しく見ながら、考えてみたい。

●バレーボール女子日本代表'10年と'12年・韓国戦のスパイク内容
大会年度   位置 選手名 本数 得点 決定率 失点 得失点差
2012年世界最終予選 先発 L 木村沙織 48 21 43.8% 4 +17
L 江畑幸子 34 10 29.4% 6 +4
R 山口舞 21 8 38.1% 4 +4
C 荒木絵里香 14 5 35.7% 2 +3
C 岩坂名奈 3 1 33.3% 1 ±0
控え L 迫田さおり 9 4 44.4% 3 +1
R 狩野舞子 2 0 0% 1 -1
R 新鍋理沙 1 1 100% 0 +1
C 平井香菜子 3 0 0% 1 -1
2010年世界選手権 先発 L 木村沙織 34 13 38.2% 4 +9
L 江畑幸子 40 20 50.0% 3 +17
R 山口舞 10 4 40.0% 1 +3
C 大友愛 8 5 62.5% 1 +4
C 井上香織 7 2 28.6% 0 +2
※L=レフト、R=ライト、C=センター。'10年の韓国戦では控えのアタッカーは出場せず

 別表は、2010年世界選手権の韓国戦と、今回の世界最終予選の韓国戦について、日本のスパイク内容を比較したものだ。'10年の世界選手権では、日本は韓国に3-0で勝っている(最終的に銅メダルを獲得)。表に示したのは、韓国戦で取った75点のうち、スパイクで獲得した44点の内訳である。'12年の世界最終予選では1-3で敗戦。全4セットで取った点数は73点だった。この中からスパイクで取った50点の内訳を表に示してある。

 二つの韓国戦を比較してみると、2年前は快勝したにもかかわらず、今回勝てなかった理由の一端が見えてくる。

なぜ、江畑幸子の得点力が大幅に下がったのか。

 一つは、木村沙織と対角を組んだレフトアタッカー、江畑幸子の得点力が、今回は大幅に下がったことだ。'10年の韓国戦で、江畑のスパイク決定率は50.0%と高く、20得点を記録している。一方、スパイクがアウトになったりシャットアウトされたりした、スパイクによる「失点」は3点だけだった。つまり、江畑個人の得失点を見るとプラス17点にも達していた。

 しかし今回の世界最終予選では、スパイク決定率が29.4%で、10得点しかできなかった。逆に失点の方は6点に増え、得失点差はプラス4点だけ。表を見ると分かるように、江畑以外のアタッカー、木村と山口舞のスパイク決定率は、'10年と'12年でほとんど変わっていない。江畑の数字だけが大きく下がったわけだ。しかし彼女もこの大会で不振だったわけではない。韓国戦以外では活躍している。江畑は力任せに打つタイプではなく、相手の陣形に応じて対応できるアタッカーだ。それでも数字が下がったのは、韓国の江畑対策(ブロックとレシーバーの位置取り)が優れていたことの証だろう。

 レフトアタッカー以外で、注目したいのはセンター陣による得点力の違いだ。'10年世界選手権の時は、大友愛と井上香織の2人で、合計7得点、スパイク決定率は46.7%だった。失点は1点だけで、センター2人を合わせた得失点はプラス6点だった。

【次ページ】 センター3人での決定率が30.0%は物足りない数字。

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