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WBC参加問題に揺れる選手会。
野球界の将来を見据えた結論を! 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2012/06/23 11:30

WBC参加問題に揺れる選手会。野球界の将来を見据えた結論を!<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

日本代表に選出されたこともある、選手会長の新井貴浩。7月20日に予定される臨時大会で、最終結論を協議することになる。

WBCに積極的なNPBと参加を渋る選手会との温度差。

 また国内でも、代表チーム常設化を決めたNPBの方針に従ってWBCを見据えた様々な動きが始まっている。

 3月には復興支援チャリティーゲームで「侍ジャパン」が結成され、台湾とのエキジビションマッチを行なった。そして今年の11月にはWBCに向けた強化試合2試合を計画。そこに向けて加藤良三コミッショナーを中心に代表監督の選任を行なう方針なのである。

 ただ、選手会だけが置いてけぼりになってしまっている。ここでもねじれは起こっているわけである。

 そこで選手たちにはもう一度、見直してもらいたいものがある。

 球団と契約を交わす際にサインする統一契約書の内容とその精神である。

プロ選手にはWBCに出場する義務と責任がある!?

 統一契約書の冒頭の前文は、球団と選手の契約を野球協約とそれに附随する諸規程を受け入れて署名するものとして、こう続けている。

「これらの野球協約ないし規程の目的は球団と選手、球団と球団、連盟と連盟の関係を規律して、わが国のプロフェッショナル野球を利益ある産業とするとともに、不朽の国技とすることを契約者双方堅く信奉する」

 すなわちプロ野球選手として球団と契約する精神というのは、野球協約とそれに附随する規則を守り、球団と選手、アマチュア野球連盟や他国の連盟との規律を尊重した上で、プロ野球が「不朽の国技」となるように努める責任を負うことなんですよ、ということである。

 そしてもう一つ、統一契約書の第4条には、この契約に基づく選手の「野球活動」が、以下のよう規定されてもいる。

「選手は……年度の球団のトレーニング、非公式試合、年度連盟選手権試合ならびに球団が指定する試合に参稼し、(中略)また選手がオールスター試合に選抜されたときはこれに参稼することを承諾する」

 要は、その精神の下で球団のキャンプや春のオープン戦、そして公式戦やオールスターゲームへの出場義務があるとともに、「球団が指定する試合」に報酬をもらって出場しなければならないということなのだ。

 となれば、もし球団が契約期間内である来年3月にWBCへの出場を命じたときには、統一契約書にサインしている限り、選手はそれに従わなければならないという解釈ができるわけだ。

【次ページ】 選手会は日本球界全体の利益を鑑みるべきだ。

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新井貴浩

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