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805号 掲載記事
白鵬(左)と共にファンの声援に応える旭天鵬。1992年に来日した初のモンゴル出身力士の一人。
photograph by KYODO
SCORE CARD

優勝力士も新十両も。
勢い止まらぬ蒙古旋風。
~モンゴル出身力士はなぜ強い?~

佐藤祥子 = 文

text by Shoko Sato

photograph by KYODO

「もし相撲がオリンピック競技になれば、金メダルはモンゴルだ」と言われたら、うなずくほかはない。

 先の5月場所では、モンゴル出身のベテラン力士、平幕の旭天鵬が涙の初優勝を飾った。史上初の6大関が揃ったなかで、栃煌山との「平幕優勝決定戦」も、これまた史上初のこと。入門21年目、37歳8カ月での初優勝も、最年長記録だった。千秋楽を前に横綱白鵬が4敗を喫し、優勝争いから脱落。誰もが「日本人力士6年ぶりの優勝」の夢を、12日目まで単独トップを走っていた稀勢の里に託していた。しかし幕を閉じれば、賜杯を抱いたのはダークホース―モンゴル力士の「パイオニア」だった。

 そして、場所後に誕生したふたりの新十両も、モンゴル人だ。貴乃花が育てた初の関取、貴ノ岩と、朝日山部屋所属で苦節12年目の鬼嵐である。現在、モンゴル出身力士は27人おり、彼らは、13、14人目の関取となる。2011年の八百長問題で、猛虎浪や白馬など6人が土俵を去ったが、今も幕下の地位に14人がひしめきあっており、昇進を虎視眈々と狙っている。

民主化され、豊かになったモンゴルを憂う白鵬。

 彼らのその強さの秘密は何なのか。幼少時から日常的に飲む馬乳酒によって作られる「骨太な体」。自転車代わりに馬に跨り、草原を走ることで身に付く「体のバランス」。相撲は相手のバランスを崩す競技だが、幼い頃から裸馬を乗りこなすモンゴル人は、自然に体の均衡をはかれる身体能力が培われるという。かつて朝青龍を育てた高砂親方は、「彼はボクシング、サッカーなど、ほかのスポーツでも成功する運動神経と身体能力があった」と、語っていた。

 しかし、白鵬はいう。

「日本でも初代若乃花さんや大鵬さんたちは、親を助けて子どもの頃から海や山で働くことによって、足腰のバネが鍛えられていたと思う。これまでのモンゴルも、昭和はじめの日本のようでした。でも、昨今は日本と変わらない。民主化されてから豊かになり、馬に跨る子どもも少なくなった。家の中でテレビゲームばかりやっていますからね」

 今、日本の大相撲を担っているともいえる、モンゴル出身力士たち。いずれその旋風が吹き止む時代を迎えた時、相撲界はどう形を変えているのだろうか。

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