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【ユーロ2012 グループB展望】
オランダ、ドイツにも弱点が……。
“死のグループ”で何かが起こる? 

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細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byVI Images via Getty Images

posted2012/06/01 10:30

【ユーロ2012 グループB展望】オランダ、ドイツにも弱点が……。“死のグループ”で何かが起こる?<Number Web> photograph by VI Images via Getty Images

左からスナイデル、ファンマルバイク監督、ファンデルファールト。5月30日に開催された親善試合のスロバキア戦は2-0で勝利したオランダだが、スナイデルは試合途中に負傷交代している。

前大会準優勝のドイツは大胆な世代交代を敢行。

 一方、オランダの宿敵ドイツも、スペインと並ぶ優勝候補に挙げられながら、いま一つ調子が上向いてこない。

 昨年11月にはウクライナと3-3のドロー、今年2月にはフランスに1-2で敗れ、5月26日のスイス戦では3-5と大量失点で完敗を喫した。親善試合はあくまで戦力を確認する場としての意味合いが強いが、ドイツが5失点を喫して敗れたのは'04年のルーマニア戦以来のことだ。

 それでも、スペインと並ぶ優勝候補としての実力に疑いの余地はない。最前線では抜群の安定感を誇るクローゼと今季絶好調のゴメスがポジションを争い、2列目では司令塔エジルの脇をミュラーとポドルスキが固める。クロース、ゲッツェ、ロイスら新鋭の成長も著しく、バックアップ態勢も充実。守備陣はラームとフンメルスを軸に据え、最後尾には今や「世界最高」の呼び声も高いノイアーが君臨する。

 準優勝に終わった前回大会から4年、チームは主に'09年U-21欧州選手権に出場したメンバーを迎え入れる形で、大胆な世代交代を敢行してきた。その成果は今大会予選での10連勝、1試合平均3得点という成績に表れている。直前に浮上した不安要素を払拭するためにも、まずはポルトガルとの初戦で勝ち点3を掴み取りたいところだ。

C・ロナウドが君臨するポルトガルも優勝候補だが……。

 6月9日にドイツとの初戦を迎えるポルトガルは、今大会の“7強”に数えられる優勝候補の一角である。しかし、プレーオフでようやく本大会出場権を手にした予選を見る限り、オランダやドイツと同格と見なすのは難しい。

 まさかの1分け1敗でスタートした今大会予選、チームはユーロ1996から続く連続出場が危ぶまれるほどの危機に追い込まれた。パウロ・ベント監督の就任を機にようやく立て直したものの、最終的にはボスニア・ヘルツェゴビナとのプレーオフに回り、ようやく出場権を獲得。特に8試合で12失点を喫した守備には大きな不安を抱えており、格下を相手に苦戦を強いられることも少なくない。

 ただし、指揮官が「自信さえ取り戻せば必ず勝てる」と豪語する根拠には、C・ロナウドを筆頭とするメンバーの充実がある。最終ラインの中央にはペペとB・アウベス、中盤にはR・メイレレス、M・ベローゾ、J・モウチーニョとお馴染のメンバーが顔を並べ、両翼にはC・ロナウドとナニという世界最高峰のアタッカーがいる。絶対的なストライカーの不在は相変わらずの懸念材料だが、確かにポテンシャルは高い。

 C・ロナウドの“ワンマンチーム”と揶揄されるチームを、指揮官ベントは自身の手のひらでコントロールし、そのポテンシャルを引き出すことができるか。絶対的なエースという駒を持っているだけに、本大会ではその手腕の真価が問われることになる。

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