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体操団体総合の悲願を託された
加藤凌平の武器。
~「ゆか」のスペシャリストとして~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byAsami Enomoto

posted2012/05/28 06:00

体操団体総合の悲願を託された加藤凌平の武器。~「ゆか」のスペシャリストとして~<Number Web> photograph by Asami Enomoto

父の果たせなかった五輪出場を決めた加藤。母も元選手、弟も現役選手という体操一家。

 初々しさを感じさせる表情で、18歳の新星は、代表に選ばれた感想をこう語った。

「実感がなくて、夢のようです」

 体操男子のロンドン五輪代表、加藤凌平だ。オリンピックでの日本男子の鍵を握ることになる存在でもある。加藤の選出には、日本体操界の4年越しの悲願が託されている。

 男子体操は、すでに内定していた内村航平を除く4名を、4月の全日本選手権、5月のNHK杯の結果で選考した。両大会の総合得点上位5名を選んだ女子に対し、男子は個人総合トップの選手、ゆか、鉄棒でそれぞれトップだった選手など複雑な選考方法を採った。団体総合で金メダルを獲得するためである。

 日本は、北京五輪、そして昨年の世界選手権で中国に敗れ、銀メダルに終わっている。では日本と中国に差があるのはどこか。分析して浮かび上がってきたのが、ゆかと鉄棒だった。両種目それぞれに2人のエース格がいる中国に対し、日本は内村に次ぐ存在に欠けていた。その差を埋めるために、ゆかと鉄棒のスペシャリストの選抜を図った両大会で、ゆかでのトップとなったのが加藤だった。

最初の演技である「ゆか」で中国にプレッシャーをかけられるか。

 加藤は今春、名門の埼玉栄高校から順天堂大学に入学した。内村らを指導するコナミスポーツの現監督である父の加藤裕之氏の影響で小学4年生のときに体操を始めた。小さな頃からトランポリンで遊んでいたこともあって、空中でのひねり動作などへの慣れからゆかが得意になったという。高校2年生のときに全日本種目別選手権のゆかで3位になるなど将来を期待される存在となっていた。

 加藤のよさは、ゆかで難度の高い技をこなせることにあるが、さらに、心臓の強さも感じさせる。選考会では、ライバル選手の得点をにらみつつの演技となった。だが、加藤は相手の得点に動じず、自分の演技に徹した。選考会の重圧を考えれば、それは容易ではない。

 オリンピックでは、ゆかから演技が始まる。ここで日本が高得点をマークすることができれば、中国にプレッシャーをかけることができる。そういう意味でも、加藤が見せた安定感は大きい。

「いちばん年下なので先輩たちにプレッシャーをかける存在になりたいです」

 その言葉どおりの演技を期待したい。

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