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リーグもカップ戦もCLもすべて2位。
バイエルンはなぜ勝てなかったのか? 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byBongarts/Getty Images

posted2012/05/26 08:01

リーグもカップ戦もCLもすべて2位。バイエルンはなぜ勝てなかったのか?<Number Web> photograph by Bongarts/Getty Images

チャンピオンズリーグ決勝でも地の利をいかせず、消極的な采配に終始した老将ハインケス。

 一体、何が残ったのだろうか。

 今季のバイエルンはリーグでも、ドイツカップでもドルトムントに力及ばずに準優勝に終わった。ちなみに、ドルトムントには昨季のリーグ戦から4連敗。バイエルンが同じチームに4連敗を喫するのはチーム創設以来はじめてのことだ。

 そして、史上はじめてホームスタジアムで戦う権利を得たチャンピオンズリーグ決勝戦でも、チェルシーにPK戦の末に敗れてしまった。

 3つのカテゴリーで、すべて準優勝。もしもバイエルンが発展途上のチームだったら、それでも良かったかもしれない。しかし、そうではない。今季のバイエルンは手堅くタイトルを狙いにいって、何もつかめなかった。

「これでチームは完璧な陣容を整えたと断言しなきゃいけないね」

 まず、GKノイアー、センターバックのボアテンクと右サイドバックのラフィーニャの3人を補強した。他の選手の獲得も含めると……計4100万ユーロ。

 バイエルンが、主に守備陣となった選手獲得にこれほど多くの金額を投じたのは、その長い歴史の中ではじめてのこと。攻撃陣の実力は十分だから、守備さえ整備すれば良いとバイエルン首脳陣は考えていたのだ。開幕前、ベッケンバウアー名誉会長は、語っていた。

「これでチームは完璧な陣容を整えたと断言しなきゃいけないね」

 そして、一昨季から昨季途中まで指揮を執ったファンハールの作ったチームの後任として選んだのが、ハインケス監督だった。ハインケスは現在67歳であり、何ら新しい戦術は持っていない。彼がチームに徹底させたのは、守備の際にハードワークを怠らないことと、攻守の切り替えを早くすることくらい。

 クラブがハインケス監督に期待したのは、チームの成長ではなくチームのポテンシャルをしっかりと引きだすことだった。

【次ページ】 栄光の戦績を誇るハインケス監督だったが……。

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