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MLB副社長が語る
メジャービジネスの現在地。
~かつてない成功の要因とは?~ 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph byShigeki Yamamoto

posted2012/05/21 06:00

4度目の日本開幕戦も成功。「北米の次に重要な市場」であるアジアでのファン拡大を狙う。

4度目の日本開幕戦も成功。「北米の次に重要な市場」であるアジアでのファン拡大を狙う。

「悪くない数字でしょ?」

 MLBのビジネス部門を統括する、ティム・ブロスナン副社長は微笑んだ。

「MLB全体での収入は現在70億ドル(約5600億円)です。MLBの主要マーケットであるアメリカはここ4、5年、経済的困難に直面していますが、MLBのビジネスはこの10年、かつてないほどの健全な状態にあります」

 MLBのマーケットは、大別すれば2種類の顧客に支えられている。球場に足を運ぶファンと、球場外のファンだ。

「球場の動員数は8年連続で7000万人を超えています。その一方でこの10年、MLBは球場まで足を運べないファンでも多種多様なメディア・プラットフォームを通して野球コンテンツを消費できるよう、基盤整備に取り組んできました。そして今シーズンは、史上最多のファンが、最大数の試合を、多種のプラットフォームを通じて消費する予定です」

 各球団ごとのビジネスとは別に、MLBはいくつかの子会社によってリーグビジネスを展開している。日本を筆頭に海外でのビジネスを担当する会社、アメリカ国内向けの放映権、スポンサー契約を担当する会社、インターネットビジネスを担当する会社――それぞれの具体的な売り上げは未公表ながら、インターネットに関する売り上げは5億ドル(約400億円)にも及ぶと言われている。

世界中どこにいても、MLB全試合のインターネット観戦が可能に。

「このビジネスについては、コミッショナーと30球団のオーナーの功績だと言えます。彼らは12年前、インタラクティブメディアの使用権を共同でプールするという大胆な決断を下しました。当時、多くの人はこのインターネットサービスを、テレビの放映権ビジネスに実害を及ぼしかねないリスキーな判断だと見ていました。しかし、テレビ放映は観客動員に悪影響を及ぼすのではないかと危惧された時代と同様、実際にはそのような現象は起こらなかった。テレビとインターネットの共存は可能だったのです」

 たとえば、年間に109ドル99セント(約8800円)を支払えば、世界中どこにいても、MLBの全試合をインターネットで観戦できる。そのプラットフォームはパソコン、スマートフォン、ゲーム機に至るまで幅広い。そして今も将来性の見込まれるプラットフォームに対し、MLBは惜しまぬ投資を続けている。

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