NumberEYESBACK NUMBER

序盤戦の主役に躍り出た、
ベガルタ仙台快進撃の理由。
~チームを支える“編成力”とは?~ 

text by

戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

PROFILE

photograph byAFLO

posted2012/05/16 06:00

序盤戦の主役に躍り出た、ベガルタ仙台快進撃の理由。~チームを支える“編成力”とは?~<Number Web> photograph by AFLO

就任5年目の手倉森監督は仙台に悲願の初タイトルをもたらせるか。

 20年目のJ1リーグは、序盤から何かと騒がしい。名門や強豪の低迷が相次ぎ、開幕から2カ月で早くも3チームが監督交代へ踏み切った。

 リーグ全体に不透明感が漂うなかで、主役に躍り出ているのがベガルタ仙台だ。開幕から9試合連続負けなしの好スタートを切り、前週末の11節終了時では7勝3分け1敗である。勝ち点24で堂々の首位に立つ。

 躍進は驚きではない。当時J2だった2008年に手倉森誠監督が就任してから、'09年にJ2優勝でJ1昇格、'10年に14位でJ1残留と、右肩上がりに力を蓄えてきた。昨年は4位に食い込んでいる。

 手倉森監督の在任5年目は、名古屋のストイコビッチ監督と並んで今季のJ1で最長だ。継続性重視のチーム作りが個々の成長を促し、勝利はもちろん敗戦の記憶も価値ある経験として生かされている。

 新たな武器も身につけている。昨年までのベガルタは、自陣にブロックを敷くことで守備の安定感を高めた。リーグ最少失点を記録した堅守速攻のスタイルをベースにしながら、今年はより高い位置でボールを奪う戦術を併用している。戦い方の幅が拡がっているのだ。

高速のアタッカー陣頼みではなく、複数の選手が絡む攻撃。

 4節のC大阪戦が分かりやすい。2対0でリードした後半途中までは、前線からのハイプレッシャーでイニシアチブを掌握した。残り20分以降は、守備に軸足を置いてしのいだ。

 ゲームキャプテンを任されることの多い関口訓充は、「しっかり守ってカウンターで相手の裏をつくのは、チームのベース。試合の途中からでも、全員で意思を統一してできる」と言葉に力を込める。

 開幕から12戦負け無しのリーグ記録を樹立した昨年は、消耗の激しい夏場に失速した。守備面でのハードワークが、体力の消耗を加速させていた。主導権を握るサッカーの構築は、持ち越されてきた課題を克服するためでもある。

 守備における二面性は、攻撃にも好影響をもたらす。相手ゴールに近い位置から攻撃がスタートすることで、新外国人ウイルソン、太田吉彰、関口らのスピードと突破力が、存分に生かされている。

 11節までにあげた21得点のうち、実に20点はペナルティエリア内から記録されている。フィニッシュへの過程には、複数の選手が絡む。高速のアタッカー陣頼みではなく、連動性のある攻撃が追求されている。

 また、21得点のうち8得点は、CKとFKを起点とする。持ち味であるリスタートを生かしつつ、相手のスカウティングも怠らない。緻密な分析と周到な準備があればこそだろう。

【次ページ】 代表の常連はいないがチームの完成度はリーグ屈指。

1 2 NEXT
1/2ページ
関連キーワード
ベガルタ仙台
手倉森誠
関口訓充
ウイルソン
太田吉彰
リャン・ヨンギ
パク・チュソン
赤嶺真吾

ページトップ