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大人のマスコミ対応に見る、
盟主ヤンキースの真髄。
~極秘の選手研修プログラム~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2012/05/14 06:00

大人のマスコミ対応に見る、盟主ヤンキースの真髄。~極秘の選手研修プログラム~<Number Web> photograph by AFLO

 完敗しても、うつむく選手はいなかった。4月24日。レンジャーズ・ダルビッシュに9回途中まで10三振を喫しても、ヤンキースの各選手は、日米報道陣の矢継ぎ早の問い掛けに堂々と応対した。シャワーを浴び終えた主将ジーターも潔く、ダルビッシュの投球を称えた。

「いい投球が必要な時に、いい投球ができるすばらしい投手だね」

 この日、4打数無安打とブレーキになったA・ロドリゲスがただ一人、報道陣の前に姿を見せることなく、クラブハウスを後にしたことが、試合後、取り沙汰された。それほどヤンキースの選手がマスコミに対応することは当然のこととして認識されてきた。

 米球界でもっとも人気が高く、常に注目を集めるヤンキース。特に、不振や低迷が続いたり、私生活で問題が起これば、厳しさで知られるニューヨークのマスコミは容赦なくバッシングを始める。それでも、長年にわたって選手と担当記者は良好な関係を築いてきた。

黒田博樹の言葉が裏付ける、ヤンキースが盟主たる所以。

 その裏に、球団側の入念な対策があることは見逃せない。2月の春季キャンプ初日のミーティングは、マスコミへの対応講座からスタートする。約30分間のビデオには、元ジャーナリスト、元選手からのアドバイスをはじめ、メディア対応の悪例などが収録されている。このほか、計4ページにまとめた小冊子が配布され、シーズンに備える。他球団やMLB機構も新人研修用のプログラムを持っているが、ヤンキースは独自で制作。極秘資料扱いで、一般には公開されない。6年前から一連のプログラムを強化したジェイソン・ジロ広報部長は言う。

「タフな質問をするのもメディアの仕事だし、彼らの後ろには多くのファンがいる。我々は選手を守り、スムーズにしていく対策も必要なんだ」

 メジャーでは、試合前後の監督会見をはじめ、選手も勝敗にかかわらず、きちんと対応する。ただ、ヤンキースの選手の洗練された受け答えは、群を抜いていると言っていい。

「大人のチーム。どっしりしているのは確かで、すごく野球に集中しやすい環境だと思います」

 今季から加入した黒田博樹の言葉こそ、ヤンキースが盟主と言われる理由なのかもしれない。

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