バルサ連覇の夢を打ち砕いた一瞬のカウンター。

　グアルディオラはテージョを投入し、ケイタを入れ、局面を打開しようとするが、目の前の壁は動かなかった。

　後半、決定的といえるバルサのチャンスは、38分にポストを叩いたメッシのシュートくらいだ。

　そして後半ロスタイム、途中出場のトーレスが中継のTVカメラさえもついていけない一瞬のカウンターから、バルデスをかわして押し込む――。2－2となって試合は終了した。

　合計スコアで3－2と上回ったチェルシーが4年ぶりのCL決勝進出を決め、バルサの連覇の夢が潰えた瞬間だった。

最後までやるべき事を貫いたのはチェルシーだった。

　PKを含む数度のチャンスをメッシが決めていれば――というファンもいるだろう。

　攻撃的で野心的なサッカーをしたのは間違いなくバルセロナだった。しかし、サッカーにはそれだけでは足りないこともある。

「バルセロナのようにプレーすることはできない。あんなプレーは、彼ら以外のチームには不可能だ。我々はそんなバルセロナに勝つために最善のプレーをしたまでだ」　　

　ディマッテオは満足そうに語った。

　対極に位置する2チームの激突となった準決勝の180分間。2試合を通して賢く戦い、運を味方につけ、そして最後までやるべき事を貫いたのはチェルシーだった。