ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
<五輪代表連続インタビュー#8> FW・原口元気 「でも、ドリブルは捨てられない」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2012/04/13 10:31
U-20W杯に出場できなかったことをバネにして、当時主将だった権田修一らと共に世界を目指して頑張って来た原口元気。一時はタレントの少ない“谷底の世代”とも呼ばれていたが、五輪出場が決定した今では、名実ともに最強世代を目指す。
香川や柏木のようにプレーはできない。ならば……。
――昨年は、ドリブルで仕掛けて行くことが代表に繋がると話をしていたが。
「今は、ポジションが真ん中になってしまったんで、パス、シュートすべてのバランスをとらないといけない。もう、ドリブラーじゃないんですよ(苦笑)。でも、ドリブルは捨てられない。今も真ん中でうまくドリブルを出せるように考えているし、自分にしかできない、ドリブルもできるトップ下の姿を模索しています。自分は、(柏木)陽介君のようなパスを出せないし、今のままだとなんか普通のトップ下になってしまいそうなんで……」
――物足りないんだ。
「そうですね。チームのためにやれているし、普通にいいパスを出し、いいプレーも出来ている。でも、なんか面白くないんです。そういうトップ下なら自分じゃなくて、誰でもできるんじゃないかって。バーレーン戦でタッチライン沿いに立った時、やっぱりタッチライン好きだなって思ったんですよ。ここからドリブルしていきたいって。トップ下で、普通にやっていたら(香川)真司君にはかなわないし、自分はゴリゴリと積極的に仕掛けて行くのが持味。きれいにやるのは自分らしくない。それに、世界では自分のスタイルを押し出していかないと通用しないと思うんで」
「『俺が直輝の分も頑張ってきます』って言っても直輝は喜ばない」
――つまり18名のメンバーに生き残るカギは、自分のスタイルを押し出すことだと。
「それは、メチャクチャ大事です。もしかしたら今の簡単にはたくプレーの方がいい、チームのためのプレーしているから原口は良くなっているという人もいるかもしれない。でも、自分は違うなって思う。ドリブルでのし上がってきたし、関さんにもそれを評価されて代表にも呼ばれた。これからもドリブルにこだわっていきたいですね」
最後に、ひとつ、聞きたいことがあった。チームメイトであり、友人でもある山田直輝がケガでロンドン五輪出場が絶望になった。原口は、どういう思いでロンドンへの道を紡ぐ気持ちなのか。
――ロンドンへの挑戦は、山田直輝の分も頑張るという意識かな?
「自分も悔しいし、直輝も悔しいと思うけど、『俺が直輝の分も頑張ってきます』って言っても直輝は喜ばないと思うんです。だから、俺がめちゃくちゃ活躍して、悔しいだろう、ケガを早く治して俺を追い抜いてみろっていうぐらいの方が直輝にとって刺激になるんじゃないかな。俺が直輝のことを考えて気にするよりも、そう思わせた方が直輝のためになるでしょう」