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<レッドソックスを再建できるのか?> ボビー・バレンタイン監督 「私が変える。私は変わらない」 

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出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2012/04/13 06:00

<レッドソックスを再建できるのか?> ボビー・バレンタイン監督 「私が変える。私は変わらない」<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi
弱体化した名門球団の再建は、日米球界での輝かしい実績を誇り、
荒ぶる情熱と緻密な分析力を併せ持つ、この智将に託された。
就任早々から精力的に動き回り、自分色にチームを染め上げていく。
“ボビー・マジック”は、ボストンの地でも炸裂するだろうか。

 名門レッドソックスの監督として10年ぶりにメジャー復帰したボビー・バレンタインは、相変わらず驚くほどエネルギッシュだ。

ボビー・バレンタイン (BOBBY VALENTINE)
1950年、アメリカ生まれ。レンジャーズ監督を経て、'95年に千葉ロッテ監督に就任。その後、メッツを率い'00年ナ・リーグ優勝。'04年、千葉ロッテ監督に復帰。'05年に31年ぶりの日本一に導いた後、'09年退任。今季からレッドソックスの第45代監督に就任。 

 スプリングトレーニングでは、その動きの激しさは誰よりも目立ち、どの選手よりもメディアの注目を集めた。とにかく、じっとしていることはない。練習前、全員を集めてのミーティングが終わると、選手たちは投手陣、内外野のグループに分かれて6面ある広大な練習フィールドに散っていくのだが、バレンタイン監督は何度も行ったり来たりしながら、その全てを見て回る。

 練習ぶりをチェックするだけでは飽き足らず、自然と体が動いてしまうのか、自らも文字通り手取り足取りの直接指導に乗り出す。例えば、一塁に出塁したときのリードの取り方や、牽制での帰塁の方法を教える。左手首の故障で別メニューのカール・クロフォードに自らトスを上げてマンツーマンでバントの仕方を指導する。フィールド間を移動するときにファンから声がかかれば、手を上げ、サインにも応じる。移籍選手がその場を通るときなどは、大声でファンに向かってその選手を紹介する。容貌はともかく、その精力的な動きはとても61歳とは思えない。

尽きせぬエネルギーはどこから生まれてくるのか?

「オレの人生で、こんなにエネルギッシュな人間に出会ったことがない」と、主力のひとりケビン・ユーキリスさえも舌を巻く。

 そのエネルギーはどこから生まれてくるのか。バレンタインは単純明瞭に答えた。

「好きなことをやっているからさ。それに、選手たちからエネルギーをたっぷりもらっている」

 2年連続でポストシーズン進出を逸したレッドソックス。その再建を託されたバレンタインはいかにしてビクトリーロードを切り開いていくのだろうか――。

TV解説者としてメジャーを見てきたボビーが分析する昨季の敗因。

 昨年のレッドソックスは8月31日時点で他のライバルに9ゲーム差をつけてワイルドカードをほぼ手中に収めながら、9月に7勝20敗という歴史的な大失速。望みを残した最終戦の162試合目では屈辱のシーズンを象徴するかのような逆転サヨナラ負けを喫した。千葉ロッテマリーンズの監督を辞めた後、TV解説者としてメジャーを2年間見てきたバレンタインにはどう映っていたのだろうか。

「誰もが9月のことばかりいうが、4月(開幕6連敗で11勝15敗)もいい戦いができなかった。打つ方ではジャコビー・エルズバリーなどよく働いた選手はいたが、投手陣はやるべきことをやれなかった。運がなかった面もあるが、大きな敗因は投手陣にあったと思う」

 シーズン後には、その投手陣に前代未聞のスキャンダルが発覚した。試合中、クラブハウスでフライドチキンをかじりながらビールを飲み、ゲームに興じていたというものだ。選手名も明かされた。右のエース、ジョシュ・ベケット。左のエース、ジョン・レスター。そして、移籍2年目のジョン・ラッキー。先発3本柱である。

【次ページ】 “スター軍団”を初めて率いる指揮官のアプローチは?

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