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5失点を“期待”に変えた初登板。
ダルビッシュの110球が物語るもの。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byAP/AFLO

posted2012/04/11 11:55

5失点を“期待”に変えた初登板。ダルビッシュの110球が物語るもの。<Number Web> photograph by AP/AFLO

イチローには4打数3安打と打ちこまれたダルビッシュ。打たれた理由として「イチローさんはもともとすごい選手。今日は綱渡りの投球だったので、誰に打たれても当然」とコメント。ツイッターではファンの祝福メールに対して「あんなんでおめでとう言わないでください」とつぶやいていた。

 ダルビッシュ有投手が遂にメジャーという新たな舞台で第一歩を踏み出した。

 4月9日、本拠地のレンジャーズ・ボールパークで行われた対シアトル・マリナーズ戦。ダルビッシュのメジャー初登板の内容は、決してファンが望んでいたものではなかっただろう。しかし6回途中でマウンドを降りるダルビッシュに対し、高らかに鳴り響く“Yu(ユー)”コールとファン総立ちの拍手喝采が物語るように、“失望”を“期待”に変えてくれた彼の投球は、早くもファンの心を鷲掴みにしたようだ。

 地元の『ダラス・モーニング・ニュース』紙のウェブでは、試合直後のファンの反応をまとめた動画をアップしているが、一様にダルビッシュに期待を寄せる発言ばかりだった。「ファンが完全に一体化していた。最高だった」と評したカップルもいるなど、今後更なる“ダルビッシュ・フィーバー”を予感させる。

 地元に限らず米国内のメディアも、初回の乱調から立ち直ったダルビッシュの投球を評価する論調に終始していた。数少ない全国紙の『USA トゥデー』紙はスポーツ・セクションのトップ記事としてデビュー戦を紹介。レンジャーズとは地区が違うホワイトソックスの地元紙『シカゴ・トリビューン』紙までが記者を派遣し、「試験にパスした」という現地発信の記事を掲載した。ここ最近メディア業界も長引く不況で、プレーオフやオールスター戦を除けば地元チーム以外の取材をする地方新聞は激減しており、かなり稀なケースなのだ。

全米の野球関係者がダルビッシュに注目していたという証拠!? 

 実はダルビッシュの登板中、テキサスから遠く離れたボルティモアで行われていたオリオールズ対ヤンキース戦でも、こんな出来事が起こった。地元ラジオ局が実況中にこんなやりとりを差し挟んだのだ。リスナーはいうまでもなく、ボルティモア周辺のオリオールズ・ファンしかいないにもかかわらずだ。

 中継アナウンサー 「今ダルビッシュが1回を投げ終え、40球以上投げ4失点したようです」

 解説者 「メジャーリーグへようこそ!」

 これらのエピソードからも窺い知れるように、米国中の野球ファン、野球関係者が少なからずダルビッシュのメジャー初登板に関心を寄せていたのは間違いない。そしてその投球は彼らの期待を決して裏切らなかった。レンジャーズ戦を中継していた解説者も以下のように評している。

「先発投手としてチームに勝つチャンスを与える投球をするのが仕事。今日のダルビッシュはそれをしっかり遂行した」

【次ページ】 今回の登板で明らかになった、チーム首脳陣の信頼感。

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