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雨のマレーシアで
明暗の分かれた2人。
~ペレスの快挙と可夢偉の試練~ 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byGetty Images

posted2012/04/11 06:00

雨のマレーシアで明暗の分かれた2人。~ペレスの快挙と可夢偉の試練~<Number Web> photograph by Getty Images

F1参戦19戦目にして快挙を成し遂げたペレス。メキシコ人による表彰台は実に41年ぶり。

 雷雨のち曇り、めまぐるしくコンディションが変化した第2戦マレーシアGPで、2年目の新鋭S・ペレスが金星となる2位表彰台を果たした。ザウバーはBMW時代に優勝もしているが、P・ザウバー代表率いるインディペンデントチームとしては'93年の結成以来となるベストリザルトだ。

 チームメイトが世界中のメディアに囲まれている間、小林可夢偉はすでにサーキットを後にしていた。残り10周でブレーキトラブルによるリタイア。帰国便の時間が迫っていたとはいえ、あのような結果を突きつけられれば、どんなドライバーでも一刻も早く立ち去りたくなる。

 昨年からペレスと組む小林はエースとしてマシン開発を任され、レースでも4度しか先着を許してこなかった。開幕戦オーストラリアGPでは小林6位、ペレス8位。今回のマレーシアは初日FP1(フリー走行1回目)を14位と20位でスタートした。ところが午後のFP2、ギアボックスに重大なトラブルが発生した小林は実質10周しか走り込めずに終わる。この流れになるとチームはどうしてもペレスのデータをベースに進めていくことになる。その晩遅く、ミーティングを終えて帰る小林とばったり会った。「天気もどうなるかわからないですしね」と話す彼の笑顔にちょっぴり元気がなかった。

雨の決勝、ペレスの賭けは見事的中したが……。

 土曜日、FP3で大幅にセッティングを変えて予選に臨んだ小林だったが、今度はサスペンショントラブルに見舞われ、まさかの17位。2日連続のトラブルである。一方のペレスは9位に進出する。

 そして雨の決勝。混乱を打開するのが上手い小林は1周目で8台を抜く好走で9位へ。11番手に下がったペレスはここで勝負に出る。雨足が強まるほうに賭け、1周目にフルウェットタイヤに交換。これが見事的中し、6周目には3位に躍り出た。もしチームがすぐに小林にも同じ作戦を取っていたら、少なくともペレスの後方4位につけられたことだろう。

 レース終盤、ブレーキトラブルを抱えた小林の苦しいコーナリングが国際映像に映し出されると、エースは完全に2位を走るペレスの脇役になってしまった。相次ぐ信頼性の問題に対し、チーム側は「徹底的に解析を行ない今後の糧とする」と発表。高い戦力は実証されただけに、小林の今後の巻き返しに期待がかかる。

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