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優位が失われたWSBで
日本勢が為すべきこと。
~スーパーバイク世界選手権展望~ 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2012/03/31 08:00

第1レースではチェカの転倒もあり優勝したビアッジ。第2レースでは2位に食い込んだ。

第1レースではチェカの転倒もあり優勝したビアッジ。第2レースでは2位に食い込んだ。

 2月下旬に開催されたスーパーバイク世界選手権(WSB)開幕戦オーストラリア大会は、ヨーロッパのバイクメーカーの活躍が目立った。第1レースは、アプリリア、BMW、ドゥカティが表彰台を占め、第2レースは、ドゥカティ、アプリリアに続き、カワサキが唯一、日本のメーカーとして表彰台に立った。この数年、ヨーロッパ勢が表彰台を独占するのはめずらしいことではないが、今年はその傾向に一段と拍車が掛かりそうな展開だった。

 ヨーロッパ勢が優位に立ったのはリザルトだけでなく、参加台数でも日本勢とのポジションが完全に入れ替わった。メーカー別でもっとも多いのは、WSBで常にチャンピオン争いに加わってきたドゥカティの7台。次にこの数年参加台数を伸ばしてきたBMWが5台。一昨年、念願のタイトルを獲得したアプリリアは昨年と同じく3台、完全なワークス体制で挑んでいる。

 対して、日本のメーカーは、モトGPから撤退してWSBに全力を注ぐカワサキの4台を最多に、ホンダ3台、スズキ2台、ヤマハに至っては参戦休止と、レースとの距離は開く一方だ。

WSBで評価を高め、市販車の販売増加につなげているヨーロッパ勢。

 WSBは、タイヤメーカーの1社供給をいち早く採用した。さらに、接戦にするため、最低重量などの車両規定を3レース毎に見直すルールを採用。今年からはスペアバイクを禁止するなどコスト削減にも力を入れている。それでもエンジンパワーはタイヤのパフォーマンスを上回り、勝敗の鍵はタイヤマネージメントが握る状況にある。

 その結果、WSBはライダーの腕次第、つまりベテランの経験と技が活きるスポーツ性の高いカテゴリーになった。一昨年はM・ビアッジが39歳、昨年はC・チェカが38歳でタイトルを獲得。今季開幕戦でも、この二人が優勝を分け合い、経験ある選手たちが上位を独占した。日本のメーカーはこうしたレースに対して、どちらかといえば消極的だ。ヨーロッパ勢はそれに乗じて日本メーカーに勝ち、評価を高めることで市販車の販売増加につなげている。

 日本のメーカーにとって、技術の粋を集めてのモトGPも大事だが、WSBもおろそかにしてはいけないと感じる開幕戦。これからの巻き返しに期待したい。

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