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大卒新人投手が入団即メジャー!!
レッズのマイク・リーク、10年ぶり快挙。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2010/04/21 10:30

大卒新人投手が入団即メジャー!!レッズのマイク・リーク、10年ぶり快挙。<Number Web> photograph by Getty Images

21世紀では初となる、マイナー経験なしでいきなりメジャー初出場選手になった

 今季開幕早々に、ある新人選手が10年ぶりの快挙を成し遂げた。

 11日のカブス戦に先発したレッズのマイク・リーク投手が、“プロ・デビュー”を果たしたのだ。

 ここで注目してほしいのは“メジャー・デビュー”ではないということ。つまりプロ選手としての初舞台がメジャーだったのだ。レッズ発表の資料によれば、1965年に現在のドラフト制度が実施されて以来、マイナーリーグを経験せず直接メジャー・デビューした選手は、21人。投手としては1995年のアリエル・プリエト投手以来となる史上13人目の快挙だった。

 リーク投手は、昨年6月のドラフトでレッズから1巡目指名(全体の8番目)されたアリゾナ州立大出身の22歳。キャンプ中は複数の投手たちと先発5番手の座を争っていたが、オープン戦で成績を残し、自らの実力でその栄冠を掴み取った。

“入団即メジャー”の看板に偽りなしのマウンド度胸。

 初登板を見る限り、その大抜擢が無謀なものではなかったことが証明された。

 1回にいきなり無死満塁のピンチを迎えながら、後続を抑え無失点に切り抜けると、結局7回途中まで投げ4安打1失点5三振の好投。打線の援護がなく、勝利投手にはなれなかったもののチームに勝利をもたらした。

「(ピンチの時に)コーチがマウンドに来た時に、何を言ってくれたのかさえ憶えていません。ストレート中心の、気負った投球になってしまったかな。7四球は出すべきじゃなかった。普段は四球をあんなに出さないのに」

 試合後にこう本人が話しているように、通常の精神状態ではなかったのだろう。それでも対戦したカブスの福留孝介選手の取材に回っていた記者仲間に聞くと、球速は140km台前半だが、様々な変化球を投げ分け、打者のタイミングをことごとく外していたらしい。ズバ抜けたマウンド度胸をもっているようだ。

ドラフト1位入団選手でもマイナーで経験を積むのが一般的。

 日本では社会人や大学生のドラフト上位指名選手が即戦力として開幕から1軍で活躍するのは当たり前。松坂大輔投手や田中将大投手のように高校生指名ながらプロ1年目から中心選手として活躍する例も少なくない。

 しかし、メジャーではまったく事情が違ってくる。1970年代までは高校出身の選手が直接メジャー・デビューを飾る例もあったのだが、80年代以降は今回のリーク投手を含め8人しか存在しない。もちろんそれには理由がある。

 このキャンプで最も注目された新人選手と言えば、昨年アマチュア選手として史上最高額の契約を結んだナショナルズのステファン・ストラスバーグ投手だろう。しかし彼の場合は、オープン戦で自慢の160km前後の速球を武器に結果を残していたにも関わらず、早々にマイナー行きを宣告された。

 ナショナルズのマイク・リゾGMは以下のように説明している。

「私はアマチュアから来た選手が即メジャーでやれるとは思っていない。これまでも多くの有望選手を見てきたが、デビューを焦ってしまい、失敗する確率は相当に高いと感じている。我々は長期的に見てチームにとって最善だと考えることをしていかなければならない」

 いかに実力を備えていようとも、短いシーズンしか戦ったことのない高校生、大学生が、いきなりプロの長期リーグを乗り切る調整法や体力維持に適応することは難しい。高額な契約金を支払った有望選手を故障させるリスクを考慮すると、マイナーでじっくりと適性を見極めてからメジャーに昇格させても遅くはないというわけだ。

【次ページ】 キューバ出身のチャプマンという大物新人も!!

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