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ビラスボアスの思惑を阻んだ
“壁”の正体。
~チェルシーの構造的な問題とは?~ 

text by

田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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posted2012/03/26 06:01

ビラスボアスの思惑を阻んだ“壁”の正体。~チェルシーの構造的な問題とは?~<Number Web> photograph by AFLO

解任前日、敗戦に力なく俯いた。この後の展開を覚悟していたのか。

「不幸にしてチームの結果とパフォーマンスは十分なものではなく、改善の兆候はまったく見られませんでした」

 ビラスボアス監督の解任に際してチェルシーが発表した公式声明は、残酷なほど直截的だった。

 3月3日、チェルシーは格下のウェストブロムウィッチに0-1で敗北。CL出場枠が危うくなったという判断により、34歳の青年監督はわずか在任8カ月で引導を渡された。

 今回の解任は「志半ば」という表現が相応しい。ビラスボアスはチーム改革に着手していたからだ。

 従来と同じ4-3-3でも、ボール支配率を重視した攻撃的なサッカーを追求し続ける。守備でもラインを高く保ち、全員でプレスをかける能動的なスタイルを目指した。

 改革の意欲は選手起用にもうかがえた。スタリッジやマタ、ラミレスといった若手の登用は、世代交代を図ろうとすればこそだろう。

 だが新機軸は、結果を伴って初めて説得力を持つ。調子は良いのに出番はこない、かといって成績も悪いでは主力組はそっぽを向く。特にランパードとの関係は、かなり早い段階からこじれ始めていた。

ビラスボアス監督抜きで行われたアネルカの送別パーティ。

 このような監督不信に追い打ちをかけたのが年末の事件である。

 昨年12月、チェルシーの選手たちは、中国リーグに移籍するアネルカのために送別会を企画した。

 だがビラスボアスは「クラブを去る人間に花を持たせることはない」として提案を却下。反発した選手たちは、ロンドン市内のレストランで監督抜きのパーティを開いた。

 テリーに関しても、人種差別発言の裁判で有罪判決が出れば、その瞬間にプレミアから姿を消すのではないかという噂がある。中国のクラブと接触しているのは公然の事実だ。

 むろんテリーが起訴されたのは、ビラスボアスの落ち度ではない。

 だが現地記者たちは口を揃える。

「モウリーニョが監督だったなら、移籍など考えないはずだ」と。

 ともあれ今回の騒動は、クラブが抱える構造的な問題を改めて浮き彫りにした。すなわちアブラモビッチ体制の功罪である。

【次ページ】 チェルシーを救えるのは、ウルトラCの人事ではない!?

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